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トカレフのbarakachanのネタバレレビュー・内容・結末

トカレフ(1994年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

スバル座閉館まであと一日。
25年ぶりの上映とのこと。
この頃の阪本監督の映画はほぼ観てたけど、この映画は初めて。版権の問題で上映できなかったそう。

最後まで息詰まる名作だった。観れて良かった。

若かりし佐藤浩市が誘拐殺人犯。まだ今のかっこいいおじさんになる前の頃。素の不気味さを漂わせる。
同僚とかで、年に一回ぐらい「あれっ」と思わせる人をそのままに演じる。
大和武士が被害者のお父さん役。不器用だけど、時間が経つにつれ、鬼気迫る演技に。

上映後は阪本監督が市川プロデューサーと登壇。
面白い話をたくさんしてくれたので、メモっておこう。

話のもとは、大和武士から幼児誘拐事件についての電話。自分が同じことをされたら、犯人を自分で殺す、かなわなければ刑務所を燃やすという電話から。

これは視線の映画。気づくこともあれば、気付かないことも。気づいてないふりをすることも。そんな人と人の視線の行く先がストーリーを作っていく。

子供をゴミ袋で入れるシーンは逡巡しやめようとしたところ、子役の男の子が、やめちゃうの?ぼく、昨日おうちでゴミ袋に入って練習したよ、の伝えたこと。

渋谷のスクランブル交差点の撮影は無許可。今ならすぐ来ちゃうね。

最後のほうの撮影は成田で。過激派の土地を借りての撮影。検問を通っての撮影だった。

千葉の検見川団地での部屋探しは、庭がまだ植物が植えられたばかりのような部屋を探した。

大和武士は現実との区別がつかなくなるほど役に入り込む。
佐藤浩市に襲われる場面では本気で抵抗し、佐藤浩市もかっとなっていた
トカレフを持って佐藤浩市を見つけたときも、少し走ってから撃つようにと言っても、自分はこの位置から宛てれると、走りながら撃ち始めた。

この頃は暴対法の影響でやくざが廃業時にトカレフを捨てることがちょこちょこあった

キャイ~ンの登場も、ただ安い漫才をNHKから借りたけど、結果として、ウドくんをメインに不安定な感じが良かった

イカれた犯人カップルが分かったのは、ボタン式信号をプチプチ押しまくる行動からピンときた。伏線は誘拐直前、人もいないボタン式信号機が赤が不自然に続いていたこと。

北野武の省きの影響を受けた。

最近のスクリーンは3Dのため、シルバーやパープルの色がついている。作り手は白をベースで調整して仕上げている。昔からのスバル座やミニシアターのスクリーンは白く、自分たち作り手の出したかった色で上映してくれる

作り手が親なら、映画館はゆりかご、観客は育ての親。映画館というハコが違えば、観え方が違うことはおわかりでしょう。

良きゆりかご、スバル座で観れて良かった。ごゆるりと観れました。
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