Moeka

太陽はひとりぼっちのMoekaのレビュー・感想・評価

太陽はひとりぼっち(1962年製作の映画)
4.1
上司にアントニオーニが苦手(見方がわからない)なんですと言うと、一時間つまらなくても我慢すればすごいことになる、と言われる。確かにすごいことになった。
ドロンの、いかにも女をひっかけるまでを楽しんでいたいという男の野卑で美しすぎる微笑みと、少しおおらかさも見えるヴィッティの無気力さ、気怠さ。燃え上がるふりをして戯れてみた先に、男と女は頬を寄せ合うが、ヴィッティがかわいそうに見えるくらい、ドロンが冷たい瞳をする。太陽の黒点の瞳。彼らは決して見つめ合わない。そして互いに、もうこれで終わりだと知っている。最高の恋愛映画。
すべてがパントマイムのように美しく虚しい。
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