三畳

恋愛小説家の三畳のレビュー・感想・評価

恋愛小説家(1997年製作の映画)
2.9
ヒロインがジャック・ニコルソンに感じたのと同じように、嫌な気持ちにさせられるのと良いシーンとが、交互に細かく訪れる映画だった。

と言ってもヒロインに共感できるわけでもない。

とにかく潔癖症の男が自分本位で、恋愛においてことごとく失言するんだけど、一歩も二歩も先を急ぐ恋愛体質なヒロインの言葉もまた噛み合わない要因だと思った。

例えば、付き添いで来ただけの一泊の用事なのに、フォーマルなレストラン用のドレスを持ってきてる女(わざわざ買ったのかも?)、
男が部屋着みたいだねと口を滑らせると、
女ブチ切れて席を立ち最高の褒め言葉を言わないと許さないと言う、
それに対してこんなところで置き去りにされる俺の立場はどうなるみたいなことしか言えない男・・・
この時点で全てに共感できないんだけど、
なんとか挽回し、数分後には、どうして私をここに誘ったのか言ってみて!怖がらなくていいのよ!みたいな展開。
そしてしっかり失言。
いや、わかんない。熟年男女の恋のテンポはこのくらいでいいのか。

悩んだ結果、深夜に想いを伝えに家凸するとか、それを純度と言うにはいい年して大迷惑だと思うけどなあ。

サバサバなシングルマザーっぽく見せているけどゲイ青年に対して無防備だし無節操。決してヌードモデルとエロを混同しているわけではないです、その件はいいとしても、近所の住民とカフェのウェイトレスという間柄で行く成り行きの旅行で、どういうホテルの部屋の取り方してんの?と自分の中のピュア警察が笛を鳴らした。

あ、それ以前に旅行に誘う口実だとしても、ゲイ青年と二人っきりだと襲われるかもしれないからという理由もさりげなく人権侵害だし。

あーそれ以前に、惚れた女に何かしてあげたいからといきなり病気の子どものために医者を送り込むのも怖かったな。ギリギリ親切で済まされる描き方だったけど、実際お金で人質を取ったも同然で、邪見にしようがなくなる。当然女はその厚意に恐縮・感謝し、遜るんだけど、穿った見方をしてしまえばお金に態度を豹変させたとも見えて不愉快だった。

ただ強迫性障害との向き合い方やもごもごと悩む不器用さは良かったし、それ主軸に置かないところも好感がもてた。
最後にはどうかもうしくじらないでくれ!という親心で見守れたから不思議。

自分的には「湯を沸かすほどの熱い愛」と同じフォルダ。「あのお母さんのやり方ダメじゃん」という観点で批評してる人は、映画が感動風なのでお母さんを是として描いてると思ってるから拒否してるんだろうけど、私はダメなお母さんとして描いてると思った。

この映画の男も女もダメダメだと思う。そうだと言っていてほしい。
そういう風に評価する見方、もう辞めたいけど。
そしてどっちも賞取ってるから実際わかんないけど。
三畳

三畳