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やっちゃ場の女の3104のレビュー・感想・評価

やっちゃ場の女(1962年製作の映画)
3.9
今回の「若尾文子映画祭 青春」で観る(観られる)作品を選ぶ条件のひとつに「未DVD化」があった。数えてみればなかなかの本数。

これはその中の1本。
タイトルといい作品紹介といい、いわゆる「プログラムピクチャー」然としていて、それほど期待はしていなかった。

しかし実際に観るとどうだろう、これがなかなか面白い。予想を裏切られて気持ちいいやら嬉しいやら。

タイトルにもなった「やっちゃ場」でのあれやこれやの奮戦記は殆ど出てこないのはご愛嬌。
テイストはいわゆる「人情劇」、それもいささか古風なのだがそれがなんとも新鮮に映る。

登場人物達の“情”が交差し、それでいて決してドロドロに陥らず(根上淳と叶順子のくだりはちょっと重いが)カラッとまとめる。

あややと藤巻潤の不器用な距離感もいいが、信欣三演じる、家族を捨て家を出た父の存在が印象的。
息子と2人で釣り糸を垂れる姿などはベタだがそれもまたいい。

あと宇津井健の「物語にはまらない、しっくりこない感」は相変わらずだが、今作でそれがいい方に作用していたか。
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