わたふぁ

黄昏のわたふぁのレビュー・感想・評価

黄昏(1981年製作の映画)
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実生活で確執のあったジェーン&ヘンリー・フォンダ親子が、ぎくしゃくした父と娘の複雑な心情を描く。
ジェーンが父ヘンリーと和解するために映画化権を取得したのが始まりで、結局ヘンリーは今作でアカデミー賞主演男優賞を受賞するも、トロフィーを壇上で受け取ることなく、式の数ヶ月後に死去。これが遺作となった。

...人生の黄昏を迎えた老夫婦エセルとノーマンは、湖畔にある別荘でひと夏を過ごしている。ノーマン80歳の誕生日には、しばらく疎遠だった娘チェルシーが婚約者を連れてやってきた。連れ子である13才の生意気なビリーも一緒だ。
夏休みの1ヶ月間をそこで過ごすことになり、ビリーは初めてイソメに触ったり、飛び込みを練習したり、湖でのあらゆる楽しみを知っていく。ノーマンも久しぶりの田舎暮らしの楽しさを彼のおかげで思い出し、次第に心も体も元気になっていく。
しかし、自分の父と息子が親友のように仲良くなる一方でチェルシーの胸中は複雑だった...。

娘が父のことを倦厭すると、母は悲しい気持ちになる。エセルにとってノーマンは「世界一優しい人」なのに、それを知っているのが自分だけ、という事実が悲しい。他人はともかく、娘くらいには知っていて欲しいことだ。

しかしチェルシーは「憎たらしい父親」と言いながらも、すれ違ったままの気持ちをうやむやにはしなかった。40半ばになってから頑固な80歳の父と向き合おうとする姿勢が素晴らしい。「友達になりたい」と言う彼女の眼差しにぐっとくる。

この作品はドラマチックな製作秘話ありきではあるが、最後の親子のハグは、フィット感というか圧力の具合が“親子なんだな”と思わせるものがあった。