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キューポラのある街のひでGのレビュー・感想・評価

キューポラのある街(1962年製作の映画)
3.7
まずは個人的な思い入れから。

僕は今、長野県木曽郡に住んでいるけど、
昨年までは埼玉県川口市の住民だった。(そして、来春にはまた川口市に戻る予定)

川口市、古くからの川口市民にとっては、
記念碑的作品なんだよ、これは!

川口市のゆるキャラ(全く話題にならなかったけど😃)の名前は、キュユーボラにちなんで「きゅぼら」

公的な機関の名前にも、キューボラが使われているし、

10年くらい前の「アド街」川口市特集で、
一位は未だに「キューボラのある街」だった😅

本作は、1962年作、舞台は1961年、昭和30年後半の川口でロケをしているので、

昔の川口駅や荒川沿い、
武蔵野線?の鉄塔らしき場所や
川口駅から京浜東北線沿いの道路(今はアリオがある所)が映っている。

まるで、社会科の資料集みたいな楽しみが
川口市民にはありました!😃

さて、とても時代を反映している作品だと改めて思いました。

繁栄を誇った川口の鋳物工場も少しずつオートメーション化の波が押し寄せます。

自らを「職人」と呼ぶ吉永小百合の父、
東野英治郎は、怪我で職場を失います。

紹介された別の工場の機械化についていけず、すぐに辞めて呑んだくれています。 

それにしても、この父親のしょうもなさは
ちょっとイラつきます。

もう少し、物語的になんとかなっても良かったようにも感じますが、割と最後まで放りばなしです。
彼は、組合にも抵抗し、「施しは受けぬ!」と強がりを言います。

それによって、娘が修学旅行に行けなかったことにも作品の中では応えていませんでしたね💦

吉永小百合と弟のそれぞれの朝鮮人友達も、この時代を反映していますね。

北に帰るということが作品の後半に出てきますが、撮った時には、これが恐ろしさ場面になるとは予想していたのでしょうか?

「ALWAYS」のように、「昔は良かった、みんな良い人!みたいな世界観ではなく、

東野英治郎に代表させる、古きダメな人間を出しているのは、浦山桐郎監督が表したかったところだろうが、

そんなことよりも、これは、アイドル映画の王道なのであろうね。

僕が好きなのは、公園の水道で口を洗う場面

少女がほんのちょっと女性に変わる、つぼみが開き始めた、可憐さで終始画面を引っ張っていく。

そして、それ以来、今日まで、
そのイメージ、そのキャラクターのまま
銀幕で活躍し続ける、

最後のムービースター
吉永小百合の誕生映画としても、記念碑的作品なのでしょう。
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