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ホテル・ルワンダのkojikojiのレビュー・感想・評価

ホテル・ルワンダ(2004年製作の映画)
3.8
 アルジェリア戦争に引き続き、ルワンダの大量虐殺を学ぶ。
 
 この映画を見るにあたって必要な知識を整理した。
 ルワンダでは90%がフツ族、9%がツチ族、1%がトゥワ族といわれている。
元々2つの民族は棲み分けをしたが、人口増による食糧不足、それに加えて森林伐採、コーヒー価格の暴落が原因で広大な放牧地を押さえていたツチ族の土地に、農耕民であり人口爆発を起こしたフツ族が侵入してきたことが対立の根底にある。それに100年前に移植してきたベルギー🇧🇪人がツチ族を統治の手段として使い、いい加減な基準による人種証明書を発行したことが2つの民族の対立を決定的にした。

#1392 2023年 425本目
2004年 イギリス🇬🇧/イタリア🇮🇹/南アフリカ映画

1994年、アフリカのルワンダで2つの民族フツ族とツチ族の対立が原因で大量虐殺事件が発生した。
 この物語は欧米諸国や国連の無策が被害を拡大させる中、1200人もの人々をホテルに匿い、その命を守り抜いた一人のホテルマンの奇跡の逸話だ。彼の武器は話術と知略と賄賂、それに5つ星ホテルで培った交友関係、オーナーからの信頼だ。
 彼の名前はポール(ドン・チードル)ホテル「オテル・デ・ミル・コリン」 の支配人だ。
 彼はフツ族だが、妻はツチ族これが物語を複雑にしていく。
この物語はポールの民族を超え、人命救助救に奔走する活躍を讃えなければならないのだが、どうしても、「何故こんなことになるのだろう」という気持ちの方が強くなってしまう。

 この2つの民族は何が違うのか?と物語の初め、酒を飲みながら話すシーンがある。
ベルギー人が鼻の大きさとかで決めた。そんな話をしている。ところが後でわかるが、個人は人種証明書を持っていて、そこに例えば「フツ族」と証明されている。
 これを見ないとおそらく区別などできない。それを民族が違うと言って殺し合うのだ。悲しい話だ。
 要するに西欧のアフリカ植民地政策に1民族を体制派として利用し、統治させ、反体制派との憎しみの構図を作った挙句、植民地支配が失敗したら投げ出すというパターンなのだ。西欧が去ったあとは同じ国民が殺し合うという悲劇だけが残される。
この映画の最後のテロップで、
「フツ族の軍と民兵はコンゴに逃げた。彼等が去った後はツチ族の反乱が終わった後100万人の死体が残された」
 と流れる。
 私達は無関心であってはならない。この現実を直視しなければならないと自分自身を戒めた。
 
 今、またロシア、中国がアフリカに触手を伸ばし、西欧と利権争いを始めている。アフリカに埋蔵する鉱物などの資源が目的なのだろうが、新たな紛争の種を産むのだけはやめてほしいものだ。
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