ミツバチゴロバチ

モード家の一夜のミツバチゴロバチのレビュー・感想・評価

モード家の一夜(1968年製作の映画)
4.0
主人公の採った選択は、平穏な人生を得たということで、賭けに勝ったということなのだろうが、でもなあ、そっちもあったのかなあと妄想を掻き立てさせる、偶然再会したモードの変わらぬ佇まいの絶妙さな〜。それを無理矢理打ち消していくようなラストの台詞が味わい深い。

フランソワーズに声かけて、これはイケるかも?となってからの、モードに対してのノリノリ具合とか、うわ〜(自分にも)あるわ〜と苦笑い。
この辺りの雪景色の白黒屋外撮影がとても美しく印象深いため、屋内会話劇がメインの映画なのに、全然こじんまりした感がなく流石。

よく映画作家は、ジャンルが変わろうが常に同じテーマを描き続けていると言われるが、ロメール監督のそれが最初に確立されたのが今作だと思う。あとはこのエッセンスをいかに変奏するかみたいな。で、女性目線で、軽やかに、柔らかく、より深みを湛えて、晩年の傑作「四季の物語」シリーズで結実すると。なんか美しい。