タカシサトウ

秋日和のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

秋日和(1960年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

[母も女性も強い]

 「晩春」が娘を嫁にやる父親の喪失感を痛烈に描いていたなら、こちらは、娘を嫁にやる顛末と母親の寂しさを描いている。

 しかし、その母親秋子の原節子は、「晩春」で父親の笠智衆が辛さで肩を落としたのとは対照的に、微笑みながら一人の夜を迎える。さすが、母親は強いということか。

 また、間宮(佐分利信)や、田口(中村伸郎)が、秋子の再婚相手を早まって娘のアヤ子(司葉子)に伝えた為に、百合子(岡田茉莉子)にこっぴどく叱られる場面がとてもおかしかった。やはりここでも、女性は強い、という事だろうか。

 だが、司葉子は美しいし、中村伸郎、佐分利信、北竜二の同級で飲み食いするのは、「彼岸花」でも同じだが、本当に仲が良さそうでほっとする。老年期に入ろうとする危うさを、この関係で受け入れて行くのだろう。

 また、原節子は美しいが、あの髪型や和服が何だか合っていないように思った。娘役の方がぴったりくるのかも。

 それでも、このコミカルさが良かった。(2019.4.14)