ENDO

別離のENDOのレビュー・感想・評価

別離(2011年製作の映画)
4.5
イラン人の倫理観がわかる。それはとても真摯な心を持っているということだ。その分、戒律に縛られる。まずコーランに宣誓して嘘をつかないという前提。もし嘘をついたならば、その良心の呵責というものに一生苛まれる。その分、融通が利かない。彼らは少なくとも主張はしっかりする。それが過剰になると侮辱だとして罪になる。裁判の方法も、宗教的倫理に基づいて行われる。優しくも、頑固でだからこそ残酷な結果になってしまう。

母が家を出なかったら、
祖父の認知症具合を知っていたなら、
正規の介護士を雇っていたなら、
家政婦が妊娠していなかったら、
あの時に、家政婦の娘が酸素バルブをいじっていなかったら、

ちょっとした気遣いのなさで、どこまでも堕ちていく悲しさ。こんなはずではなかったのに。誰か特定の人が悪いわけではない。だからこそ、単純には解決できない。弁証法として意見を交わし、さらに高い次元に持っていくことの難しさ。夫婦が、妥協と感じるのではなく、新しい関係を構築することはできないのか。それは観客である私達自身が考えるべきだ。

イラン人の人の良さ、面倒見の良さは画面の端々に現れていて、新鮮でした。あと、女優さん達、目が綺麗。
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