Nana

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録のNanaのレビュー・感想・評価

3.6
地獄の黙示録のバックグラウンドを描いた強烈なドキュメンタリー。
監督はコッポラの妻、エレノアコッポラで先週亡くなられたそうです。RIP。

地獄の黙示録を見た印象は、ひたすらクレイジーで、最後は微妙?
だったけど、このドキュメンタリーを見るといろいろ納得。

映画化が難しい作品を政情と天候が不安定な国で撮影。
キャストのワガママ放題、アクシデント、コッポラのこだわりと自分が思うように進まない苛立ちが、リアルに伝わりました。

半端ない金額の自費を投じて、撮影を続け精神的にも追い詰められる夫を「ゴッドファーザーで得た贅沢な暮らしは私に不似合いだから」と冷静に見てるエレノアがすごい。撮影現場にソフィアたち子供も連れてくなんて神経座ってる。
例の牛を殺すシーンも、エレノアが村のイベントに行って「これは見るべき」って夫を引っ張り出したとか、感性がすごい。
ゲリラがいるようなジャングルで「ディズニーのジャングルクルーズだ」って喜ぶソフィアも、そりゃ感性が独特になるわね。

マーティンシーンが鏡を殴ったのはアドリブで血みどろになったまま撮影したとか、心臓病で死にかけたとか、マルコスから借りたヘリが勝手に撤収されたとか、驚くようなエピソードがいっぱい。
今は紳士然としたローレンス・フィッシュバーンは撮影開始時14歳(そう聞こえたんだけど)の悪ガキ。
ドラッグが蔓延する現場で不良化してリバーフェニックスみたいにならなくて良かったね。

コッポラは地獄の黙示録のテーマは、死と再生と言ったけど、あまり伝わらなかったなあ。
やはり前半のワルキューレやプレイボーイのシーンが強烈で、コッポラもこういうシーンを撮るのが上手いのだろう。

マーロン・ブランドが太っちゃってカーツのカリスマ性がブレてしまった気もするけど、ヒットして良かったね。

ハーヴェイ・カイテルはなんで降ろされたんだろう?
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