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予期せぬ出来事のotomisanのレビュー・感想・評価

予期せぬ出来事(1963年製作の映画)
4.0
 ロンドンの霧も人殺しばかりが能じゃない、という面目躍如。まあ、八方丸く収め切れない辺りはお愛嬌。お愛嬌ついでに1963年のヒースロー出発カウンターの鶴丸の赤。小さいながら画面真ん中とは安くないだろう。
 冬間近のその朝こそ離英しないと不都合な面々三組が、霧でヒースローにて立ち往生。この不都合をどう乗り切る?それに加えて、ちっとも飛びたくない公爵夫人が御一人。空港にまつわる物語なのに、この飛ばず嫌いの夫人がよもやのアカデミー賞受賞。エリザベスもリチャードも食われたもんだ。ま、彼らも遂に飛ばないが。ともかく、困った三組が命懸け、首を賭けての回生に挑む。もしくは、やっつける。
 挑むのは経済界の大物R.との虚しい夫婦生活を捨て、博徒のL.と駆け落ちするE.そして引き留めるR。Rの脅迫も追従も振り切り翌朝を迎えるE.のゲートイン間際からは敢えて言いたくない。
 深夜、意気消沈のR.が出会うのが挑む男女もうひと方、トラクター会社社長R.の秘書嬢M.で、いきなりの借金申し込み。違法行為にまで協力して惚れるとはそうゆうものかと書いて渡す小切手が回生に一ポイント。もっともこれで心が揺らぐか社長、ゲート際のM.とのキッスが熱いぞ。霧の人助けにはどうも後先不明のリスクがあるようだ。
 そして、やばいよやばいよでやっつけを思いついた映画屋O.と愛人?+仕掛人。金と色(+仕事)と名声の三人四脚に適当な外見(愛人を奥さんに昇格、奥さん名義の会社に利益をくっつけてうんぬん)をあてがい直して逮捕の心配もけろりと忘れて意気揚々。ついでに離英ぎわ、租税回避の悪儲けから、安いもんさと公爵夫人と交わす屋敷の映画ロケ使用契約、一日300ポンド也。今時の、貴族はつらいよと出稼ぎ公爵夫人の飛行機嫌いはまだまだ続く。いやいや、乗ったら乗ったで米国製の飛行機にご不興は見え見え、あくる年の出稼ぎシーズンには帝国産VC-10でお待ちしてます。こちらは、B.O.A.C.
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