TAK44マグナム

トライアングルのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

トライアングル(2009年製作の映画)
4.2
それは終わりのない無限地獄。


「30デイズナイト」のメリッサ・ジョージが、タンクトップ姿で豊かなオッパイをユサユサ揺らして謎の殺人鬼と対決する不条理スリラー。
リアム・へムズワースも出ていますので、男子的にはメリッサ・ジョージ、女子的にはリアム・へムズワースを見ていれば宜しいかと。

シングルマザーのジェスは、ボーイフレンドたち6人でヨットクルーズに出るが、快晴だったはずがいきなりの嵐に見舞われ遭難する羽目になってしまう。
途方に暮れていると、一隻の大型客船が近づいてきた。
助かったとばかりに乗船するが、不思議なことに船には人の気配がまったく無かった。
手分けして乗員を探す彼らの前に現れたのは、なんと恐るべき殺人鬼!
次々と仲間が殺されていく中、ついに殺人鬼と対峙したジェスが知った殺人鬼の正体とは・・・・・?


序盤のお話だけだと何の変哲もないスラッシャーホラーかと思われるでしょうが、これが実は一筋縄ではいかない「ループもの」なのです。
殺人鬼を倒すと、またジェスを含むメンバーが乗船してきます。
つまり、ずっと同じ時間をループし続けているというわけです。
ジェスは何とかしてループから脱出しようと試みますが、どうやらこのループは重層的であるらしく、同じ時間が過ぎれば過ぎるほど、積み重なってゆきます。
例えば何かを落とした場合、ループを繰り返すうちに落とし物がどんどん増えてゆくのです。

何を書いてもネタバレになってしまうと他のレビュアーさんも書かれていらっしゃいますが、正直いってその通りなので殆ど何も書けません。
ただ、劇中最大のショックシーンとも言えるであろう、積み重なった◯◯◯は、やはりジェスが感じている罪の深さを物語るメタファーなのではないでしょうか。

非常によく練られた内容で、あまり矛盾を感じませんでした。
総じて良く出来たループ映画じゃないかと思います。
唯一、明らかにジェス以外の視点のカットがあるのは、やや反則かなと思ったりしましたが、終盤の展開はスピード感もあり、「ああ、なるほど」と納得できるオチは、物悲しくて切なさに溢れていました。
はたして、そこに希望はあるのか。
悔恨という言葉が支配するラストでしたね。



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