ムーン・リバーに乗せた冒頭のシーンがピークだと思う。
自らの置かれた辛い環境に目を向けないよう、洗練されたスター像を演じる様子。本来は、演技じゃなくこうありたかったという憧れの自分。
すべてわかったうえでもう一度見ると、切なくグッと来るシーン。
作品としては、話の推進力は弱いし、記憶に残るシーンもほとんどない。
突っ込みどころがたくさん。最終盤の"猫の虐待"が象徴的。動物を飼ったことある人なら「この子大丈夫かな…」という気持ちしか抱けないくらい、作品を楽しむ上でのノイズになっている。このシーンが象徴的だけど作中、ご都合主義的だったり違和感を抱くシーンはいくつもある。
それでも観させられるのは、オードリー・ヘップバーンの魅力がすべて。常にラリってるような話し方とふるまい含め、本当にチャーミング。一挙手一投足に魅入られる。彼女を観るための作品。