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地獄の逃避行のxoのレビュー・感想・評価

地獄の逃避行(1973年製作の映画)
3.5
若者の普遍的な感情を描いた映画。基本的に彼にも彼女にも共感はできないものの、最終的には切ない気持ちにさせられてしまう。経験というよりその感情に共感できるというか。 物語後半になり、破滅が見えていくとともに美麗なシーン、カットが増えていき、時間の愛おしさが増していく感覚。なんとも言えない感情を掻き立てられる。
終盤、車中でのセリフ「I don't know」これが全てだよなって思う。。はっきりした動機があるわけじゃないし、どう言葉にしたって真実じゃない。

少女のふらふらした佇まいからも新鮮なリアリティを感じる。何をしたいわけでもない、衝動なんてものでもない、ただ流されるままに身体が動いていくあの感じ。

独特の詩情がある。追っ手の姿を映さず、サスペンスとしての緊張感を煽らず、かと言って二人の逃避行をことさらドラマチックにも描こうともしない。寓話のよう。

想起した作品はいくつもあるけど、とりわけ「WANDA」「リバー・オブ・グラス」あたりが近いかなと思った。「天国の日々」「美しき冒険旅行」と通ずる生々しい残酷さも満足できた。
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