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レマゲン鉄橋のkirioのレビュー・感想・評価

レマゲン鉄橋(1968年製作の映画)
4.3
これぞ善きミリタリー映画、という感じだ
キャラクター、大火力戦、そして虚しさ漂う焦燥感
地味ながら全てに手堅さを感じる、真面目な一本だ

STORY
ナチス・ドイツの降伏を目前にした1945年の3月
ドイツ軍の撤退路として、ライン川に残されたレマゲン橋をめぐる連合軍とドイツ軍の攻防戦を描く

 連合軍が迫る中、ドイツのクルーガー少佐は、味方を見捨ててレマゲンの橋を爆破せよという上層部から無謀な指令を言い渡される
しかし、圧倒的な戦力差に劣るドイツ軍では、現場の指揮官をはじめ、彼らの尽力によってかろうじで守られている状況だった
 一方、レマゲンに迫る米軍のハートマン中尉も、無用な戦いを駆り立てる軍隊に焦燥し切った一人だった
また戦場に友情や人情こそありえないと諦めるハートマンにとって、生きることに貪欲なエンジェル軍曹こそ、目の敵でもあった
もはや目的の見えない戦況の中で、奇妙に絡み合った交友の果てに、遂にドイツ・アメリカ両軍の部隊が激突する…



映画の制作も1969年と、戦争映画が多発した時期の中では後期の方
監督は巨匠ジョン・ギラーミン(「タワーリング・インフェルノ」や「キングコング」など、あまり良いイメージがなかった)
そのため映画全体も、娯楽大作というよりはかなり渋めのストーリーになっている
やはり独・米の両軍に同じ比率で、魅力的なキャラクターとストーリーが用意されていることが大きい
背水の中、どうにか現場を収めようと奮闘するクルーガー
戦いに疲れ、生きる意味すら見失いかけるハートマン
二人の対比と、彼らを振り回し、時に支える同僚の姿が物語の魅力になっている
また悲劇と救済のある、ラストの対比も非常にバランスがいい
物語に深みを与えるエンジェルのキャラクターも欠かせない

一方で、鉄橋、町一つごと吹き飛ばす勢いの火力戦には、やはり近年の映画にはない物量を感じる
これでもかというほどの爆撃、倒壊、水柱
街中を蹂躙するアメリカ戦車(M24チャーフィー)も印象的だ
やはり全てが実機、あるいは実物大というのは、この時代ならではの映画だ
それを補強する、一般市民への被害の描写も忘れてはならない

また戦局も史実をそれほど崩していないようなので、そこもポイント

なかなかポイントを押さえた、古きミリタリー映画の名作だ
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