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インファナル・アフェアIII 終極無間のkirioのレビュー・感想・評価

4.4
シリーズ完結編にして異色作
第1作目ありきだが、趣向を凝らした構成の上手さがある
また違った角度で2人の物語が掘り下げられる

STORY
潜入捜査官ヤンの死からしばらく。マフィアから善良な警官へと歩み始めたラウ。たがそれは彼の素性を知る潜入者の存在に脅かされる日々だった。その後を追って、ヤンの潜入記録を辿る中で、ラウの心は恐怖と罪悪感に蝕まれていく…


前作を挟んで、オリキャス2人の帰還が本作の醍醐味だが、なにぶん今までの未公開やらの流用も多い
それでいて、新しい物語としてじっくりと成立しているあたりに手腕が光る
孤独な戦いはシリアスな心理戦から、遂に異常心理にまで向かってしまう
内容、演出共にかなりホラーテイストで、今までになくシュールな映画にはなっている

今までにないほど、本当の意味で無限地獄を体現しているのが本作の魅力
善人であろうとあがくほど、過去の業が続く足枷となる。切実な願いと現実のギャップに苦しめられていくラウの姿が、まさしく一作目のヤンの姿と交わる。道は違えど、善と悪の狭間に苦しむテーマは一貫している。
一方で、ヤンと友情と正義を誓い合ったヨンの復讐劇でもある。過去に悪として成したラウに制裁を加えるのだが、こちらも間接的にヤンへの罪悪感や過去から逃れられないラウの呪いだ。ただ、構図だけ見ると奇しくも「ディパーテッド」に似ているのが何とも。

シリーズを増すごとに、アジアンテイストな源流へ向かっていくのが、最高の発見だった
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