まっどまっくすこーじ

火垂るの墓のまっどまっくすこーじのレビュー・感想・評価

火垂るの墓(1988年製作の映画)
5.0
ずっと封印していたんですよ。
だって、昔に観たときにものすごく悲しくなってしまって、『もう観たくない!!』って思ってしまったのです。
でもいつかまた観てしまうだろうなぁ…とも思っていました。
そして戦後70年を迎える今夏にテレビで放映するというので覚悟を決めて観ました。

よくカタルシスという言葉を使いますが、元々はアリストテレスが「悲劇に対して怖れと憐れみによって精神の浄化を起こす効果」という意味で言い始めたものです。
転じて今では、押さえつけられていたモヤモヤした感情がスッキリと解放される、というような意味で使われていますよね。

その元々の意味のカタルシスが、私の場合はメチャクチャ引き出されてしまうのが今作なのです。
何が言いたいのかというと、シンプルにいえばとにかく泣いてしまう映画だということです。
なんでこんなもったいないぶった言い回しをするかといえば、私は悲劇には超弱いのですよ。
例えば、「余命何ヵ月の花嫁が…」というようなストーリーは一切、観られません。
だって観ている間と観終わってしばらくとさらに思い出した時に、私のハートは切り刻まれてしまうことが分かっているんですから。

しかしそれでも観てしまう、または観るべき映画というものがある。
今作はそういう映画の代表作だと思います。
ちなみに、あのタランティーノが選ぶ第二次世界大戦映画ベスト50では第10位だそうです。

この高畑勲の最高のアニメーション映画が、あのトトロと同時上映で公開された昭和最後の春は、今考えると奇跡が起こっていたんだなぁ… って、オーバーかな?

それから、私はアニメーション映画では声優の演技も重視しているのですが、今作の主人公の妹である節子役の白石綾乃は最高でした!!
こんなに心を鷲掴みにして魂を震わせてくれるなんて…
何と当時まだ五歳!! その後は目立った芸能活動はしていない…
この節子のためだけに声優をやったのか…
まさに奇跡です!!

原作の野坂昭如は、言っちゃわるいけど変なオッサンなのに、こんな切なくも美しい話をよく書けたなぁ… 実体験がベースにはなっているらしいけど…
実写版は未見ですが、これから先にもおそらく観ないでしょう。泣いちゃうから。
でも、イギリスで実写化するという話もあるようなので、ちょっと興味は… いやいや、やっぱり泣けるのはなぁ…

感動させてくれて泣くのは構わないのですが、悲しくて泣くのは苦手なので、今作をまた観ることがあるのか分かりません。
ですがお勧めの映画なのは変わりません。

いつにも増して訳のわからんレビューで本当にすみませんでしたm(__)m