Takaomi

鍵泥棒のメソッドのTakaomiのレビュー・感想・評価

鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)
4.0
「シリアスラブコメディ」

この映画、今まで二回ほど観たけれど高校生だったこともあり、当時は面白い印象がありませんでした。

けれど映画に限らず、人って長いこと生きている中で年齢や経験したことによって感性や嗜好が変わることがあります。
今まで面白くなく価値のないものが、ある日突然、光り輝くダイヤモンドのように価値のあるものになる。

それが、映画の醍醐味であり、人生の醍醐味なのかなってこの映画を見て思いました。

僕たち人も時々他人が羨ましく思えて、別の人の人生を生きてみたいと思うことがある。

そんな人間の欲求を叶えてくれたのがこの映画。

だけど、実際に人生を入れ替えられたとしてもその本来持っている本質は変わらないんだっていうのが、コメディの中でも伝わってきた。

さっきも述べたように、人生ってどんな状況においても考え方や行動さえ変えれば、価値のなかったものが、ダイヤモンドのように輝きだすこともあるし、感性や嗜好だって経験によって変えることができる。人生って案外面白いし、そんなところも人生の醍醐味だなっていうメッセージも込められていた。

また、今の時代はSNSの普及などで、人とのつながりが薄くなっているような気がする。
実際にこの三人も本当の自分を表現できず、自分だけの世界を作り、演じてきた。
だけど人は、そんな器用ではない。人と人とが支えあって、やっと人生の醍醐味であるドラマが生まれる。

これからどんな人と出会えるか、わくわくする。

人が入れ替わる話って結構ありふれているけど、記憶喪失になった人の人生を入れ替えるという視点は妙にリアルで下手すれば、駄作になりかねないのに内田監督はすごい。

誰も殺さないところもgood。

三谷幸喜の作品は老若男女が楽しめる作品で、内田監督の作品は大人が楽しめるシリアスコメディといったところだろうか。
Takaomi

Takaomi