イホウジン

鉄男 TETSUOのイホウジンのレビュー・感想・評価

鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)
3.9
全編にイカれた緊張感が漂う。

ストーリーは「男が金属に飲まれていく中で黒幕と闘う」といういたってシンプルなものだが、案外深い。人間が金属に飲まれるという設定以外は、話の因果関係がしっかりとしていて、映画的にも完成されたものを感じた。意外に現実的でもある。
画一化されたサラリーマンの一人が、非人間的な物質に飲み込まれていく過程で人間性を蘇らせていく展開はなんとも皮肉めいていて良い。極限状態に置かれて人ははじめて己の本当を知るということか。
低予算なりに特撮もまた見事である。鉄男の動作は言わずもがなだが、二人のチェイスシーンの疾走感が素晴らしい。やってることは非常に単純なのだが、音楽の効果もあり思わずワクワクしてしまう。

良くも悪くも実験映画的な部分は強い。
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