イホウジン

フォレスト・ガンプ/一期一会のイホウジンのレビュー・感想・評価

2.5
フォレスト・ガンプ、トランプ支持してそう

今作の見過ごせない問題点は、現代アメリカの混沌やマイノリティの闘争を、「障害者の無知」を口実として、マジョリティの歴史の方へ美化しようとしていることだ。障害者をただの頭の悪い人としか見ない点も問題だし、それによって不可視化される様々な要素がどう考えてもアメリカ史を語る上で重要な点にも関心を向けざるを得ない。
ベトナム反戦運動のシーンはそれを象徴するだろう。ガンプのスピーチの場面では警察の妨害でマイクの電源が落とされる訳だが、それによって「敢えて」彼の発言を映画の観客にも聞こえないようにしたのは、それが反戦運動という大きな物語の文脈の中で、明らかに逸脱する発言だったからではないだろうか。なおこの反戦運動もまた、劇中では彼女との再開の単なる演出へと成り下がるし、ブラックパンサーは彼女に暴力を振るう「敵」として描かれる。
リベラルな彼女の生活は次第に退廃し、素直で保守的なガンプは(黒人の仕事を奪いながら)アメリカン・ドリームを手にしていく。この対比の中に政治的なメッセージを読み取らないことは出来ないだろう。

そんな彼ならきっと「アメリカを再び偉大にする」大統領候補を歓迎するに違いない。
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