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エスターのNMのレビュー・感想・評価

エスター(2009年製作の映画)
3.8
この少女が恐ろしいというよりは、主人公であるママの話を誰も信じてくれない、という点のほうが怖かった。
あまりに不自然な状況なのに、ママが嘘なんか言う理由はないのに、あなたがおかしいと思われてしまう恐怖。
過去の流産経験とかアルコール中毒経験とかのせいにされて。
人が人にレッテルを貼り、その人の話を全く信じなくなるという恐怖。
何もかも裏目に出て、みんなエスターの罠にことごとくひっかかって、本当に不快すぎて面白い。このイライラ状態が作品中1番長い時間を占めていたように思う。

しかしさすがに無茶をし過ぎたエスターも段々足がつきだし、これ以上騙せないし自分の希望も成し遂げられないとわかると、全てをぶち壊しにかかり、いよいよママと一対一の真っ向勝負。
みんな助かってくれ、じゃあもう子どもたちだけでも、いやママ負けるな頑張れ、と応援したくなった。

不快指数といえば例えば『セブン』が思い浮かんだが、指数でいうと並ぶものがある。ただラストはややマシなのであそこまでのもやもやは残らない。こういう自分以外誰も信じてくれない系は個人的にとても苦手。
観ている時はなんでみんな信じないんだと思っていたが、落ち着いて後から考えると、まあそりゃみんなママを疑うかもなあと思い至った。

ところで、精神患者が恐ろしい事件を起こす、というストーリー設定は昔からあまりにも多いが、もしかしてこういうことが患者たちの立場を弱くしてきたのかなと思ったりした。
ママを信じなかった人たちのように、他人の良し悪しを勝手に決めつけることのないようにしたいと思う。

あと、子役がハードな演技をするので、それを良く思わない方は閲覧注意。私もあまり良い印象はない。

妹役の子は実際に手話使用者らしい。
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