どーもキューブ

ファンタスティック Mr.FOXのどーもキューブのレビュー・感想・評価

ファンタスティック Mr.FOX(2009年製作の映画)
4.1
ウェス監督の素敵な狐父さん



 2012年1月5日 18時12分レビュー。

 

ニューヨーク、ロサンゼルス評論家協会賞アニメ部門受賞。
2009年原作ロアルドダール、製作脚本(他一名)監督ウェスアンダーソン。

アメリカ映画界の微細な構図とこだわりと色使いで人間マンダラを魅せるウェスアンダーソン。 

ウェスの新作がなんと

お人形劇! 

と記事を見た時、思わず「めちゃくちゃ傑作になるに違いない」と思ったんです、だってあの

詳細なテロップ
俯瞰で見る人物姿
色の対称
画面の対称
細かな事にこだわり物語は少し曲がりまくるウェス

そんなウェスアンダーソンが狐の物語!しかも児童書の名著。
ストップモーションときたもんだぁ!
製作10年撮影2年ときたぁ!

ストップモーションは、昔のハリーハウゼン先生の「シンドバッド」シリーズのカクカクした怪物!はたまた幼少時テレビ「ポンキッキ」で見た歌の際のストップモーションぐらい。

滅茶苦茶撮影に苦労するストップモーションにあえて、わざと手を煩わす人形劇に挑んだウェス新作、準新作鑑賞。





いやーウェスアンダーソン作品いちおだいたい見てるんですが、

最高傑作

じゃないかと思っちゃいました!

懐かしいカクカクした動き
可愛いくてどこか野生を感じる狐一家の物語

主役の声が
ファンタスティックフォックスにふさわしい
艶があって
どこか格好良く
どこか情けなく
誰かなぁと思いきや
今や監督も旺盛な医療ドラマ「ER」から飛び出したジョージクルーニー
上手過ぎて良かったぁ。

そして妻にはな、な、なんと今も一線でへんげを続けるメリルストリープ、あってます。

他にウェスアンダーソン常連のビルマーレー、そしてさり気なく喋っていたウィリアムデフォー。

特典を読むとウェスのこだわりは、ハンパなく

構図、質、色はいつものようにハンパないこだわり

笑ってしまったのが、アテレコを臨場感だすために外で同じ状況をやりながら声を録ったというんです。

素晴らしいこだわりが光っていましたね!

フォックスの格好良さ
表情がとても魅せられます。

ウェスアンダーソンの表情、色、擬人化の素晴らしさに魅了されました。

狐なのに妙なカッコツケ具合
狐なのに生意気
狐なのに笑える
狐なのに利口
狐なのに鈍感
狐なのに敏感

という素晴らしい「人間のような動物、狐達。人形姿の素晴らしさ」

しかも緩急スピードあふれる躍動感と俯瞰とアップ

狐を通した人間らしさに笑えます。
勿論ウェスアンダーソン仕様ですんで、芸が細かいんです。

ウェス監督は、物語の論理性なんかより、微細な舞台装置、色、動き、キュラクターを楽しむ映画のような気がします。

今回
そのウェスらしさがとってもマッチしていた気がします。

クセがありますが、お子様も楽しめる映画ではないかと思います。
比べちゃあれですが、
ディズニーみたいな「感動、可愛い、助け合い」
わかりやすさはありませんので、あしからず。

音楽もまた良い!ビーチボーイズがナイスにかかります!(ネタばらしすいません)
粋で、癖があって、人形の擬人化具合もちょうど素晴らしい!!

ウェスアンダーソンが魅せる
なんと素敵なキツネ父さん
なんと素敵な人形劇

是非ご覧ください!お子様もかろうじて楽しめます。
この力作ごらんあれ!

追伸
本作を見てこの「躍動感」この「擬人化」をスピルの「タンタンの冒険」に欲しかったなぁと思いました。

そしてあらためて、ウェスアンダーソンって根っこの部分が変わらない作家だなーと思います。力作でございました。
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