このレビューはネタバレを含みます
塚本晋也監督の戦争の瞳
製作怪獣シアター
脚本監督塚本晋也
日本映画で大好きな映画監督、 塚本晋也監督。今や世界の「ツカモトシンヤ」作れば、世界が注目する日本映画界に誇るべき存在の巨匠だ。
鉄を入れてみればからはじまる和製サイバーパンク「鉄男」シリーズ。
江戸川乱歩で1本「双生児」
塚本晋也映画の怪物系映画「妖怪ハンターヒルコ」
タクシードライバー的銃に魅せられた物語「バレットバレイ」
フェチシズムで閉じ込められて拷問恐怖シリーズ短編「ヘイズ」
主婦の日常的不安をカサヴェテス的おびえ映画に仕立てた「KOTOKO」
未見「ヴィッタール」「悪夢探偵」シリーズ、見直したい「六月の蛇」
同時代で追いかけてきた大好きな映画監督さんです。
出会いは、JVD?(ビデオ発売)の衝撃的な「鉄男」の広告からだった。日本にもこんな素晴らしいホラー撮る人いたんだ!と心底 たまげた、んで、ビデオみてまた、たまげ、すぐビデオダビングしたっけ。
そんな塚本晋也監督が戦争を撮る。
「野火」では、戦争のなかの戦地を生々しく原作を生かし表現した。
新作にとりかかっているとは、SNSで知ってた。新作「ほかげ」2023年冬、新潟シネウインドにて。ウインドが38周年の会館記念日にみてきました。
少年を見ていて涙がツーっと流れた。
少年が投げ飛ばされ、投げ飛ばされ、それでも、必死に仕事をしようとする、やろうとする、かじつりつくシーンに涙が素直に出た。
まさかあのシーンの飛ばす人が大森監督!!!だったなんて!!びっくりした。
本作映画監督が2人出演してた。必見、あとは瓶を持つ利重剛監督だ。
今回の塚本晋也が表現する「戦争」は、戦争後の日本だ、生き残りはじめた日本人だ。多分完全オリジナルなお話し。
途中森山未來の出演の日中の箇所 、ちょっと画面からはぶいたり、うつりこまないようしていたが、ちょっと現代っぽい感じが見えそうで、みえなかったんで、みながらヒヤヒヤはした。ギリギリな感じで興ざめ一歩手前だった。久しぶりの 出演助演していた唯野未歩子さんが出演していてこれまたびっくりした。
謎のミライさん。いやこういう方、ものすごくいらっしゃったでしょうね、、、(無念)
手がフラフラしていて傷ついている戦争後の男だ。必見。
冒頭の趣首さん。
なまめかし白い肌のみ照らされ寝ている姿にセックスアピールがまぶしい撮影。 あばらやらしき場所に寝ている。どうやら居酒屋っぽい、がとても居酒屋とはいえない、外は戦火のぼろついた住居がある。
兵隊が出る。どうやら教師らしい、教科書を持ち歩くが傷つき過ぎて、 そんな教科書は、もはやオマケのような紙のかたまりにもみえた。
趣首さんのひと言ひと言とまなざしとラストのがなりに生き様が浮かび上がる。ほかげの闇に属してしまう瞬間がラストに悲痛な叫ひがきこえる。必見!決してわかりやすく描写はしていない。しかし 日々疲れ、日々なんとか生きるようほかげあるあのきったないカウンターになんだか人が集う。それは女性の肌にか食を求めてかは、わからない。
本作の要、塚尾桜雅くん。彼の目線 でみたほかげのお話しだ。戦争でいきのびた光と影。
何度も じっくりみつめるのだ。いきのびて、なりふりかまわず傷ついている戦火の光に生き、闇でもうごめく人と人をみつめる。
ほかげのやみにうごめく兵士や怪我した人達がうつる。多分塚本晋也が絶対やりたかった所が ここだとも思った。
ただブツブツブツブツブツブツと暗闇で喋りすわる数々のおとこたち、、、、、、、、。
気力も
男気も
野心も
立身出世も
なにもない。くらさをまとい、ただいきり、痛みに耐え、地上に座る黒いところで生きてきたひとを映し出す。そしてみつめる子、ひとり。
悲しかった、本当に見たとき、、あんな闇、なけりゃいいのに、ちくしょーとも(悲しい)
さて
塚本晋也の素晴らしく独創的でいて
また描いてこなかった日本の戦火の小さな小さなマッチの火のような、 ランプの火のような光とみたくわない闇
素晴らしい映画でした「ほかげ」
フィルマ版追記
戦争三部作、もう1本、大変かとは思いますが、お待ちしております。地方のファンより。