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女が階段を上る時のTSのレビュー・感想・評価

女が階段を上る時(1960年製作の映画)
3.3
【銀座で働く一人の女の物語】73点
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監督:成瀬巳喜男
製作国:日本
ジャンル:ドラマ
収録時間:111分
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巨匠 成瀬巳喜男の作品。成瀬監督の作品は初鑑賞ですが、なんとも言えないどんよりとした雰囲気が醸し出されているのが特徴でしょうか。本作の主演を演じるバーのママ、圭子は男に振り回されてばかりで気の毒すぎます。男は勝手な生き物。少なくとも今作ではそれが嫌なくらい強調されています。

1960年代の銀座。若くして夫をなくした圭子は銀座のバーであるライラックの雇われマダムであった。そんな時に同僚が自殺をしてしまい、彼女も何かしらの決意をするのだが。。

全編彼女をめぐる会話劇でもあり、メロドラマでもあります。前半はやや退屈か。しかし、徐々に男たちの勝手具合が浮き彫りになってくるため気の毒ですが面白くなってしまいます。美しい人はある意味大変。来る男全てがそういう眼差しで自分を見つめるわけですから最初から信用出来ない。信用出来そうな男でさえ実は…といった展開なので世の不条理さがわかります。

普通にいきたいだけ。見方によっては圭子の悩みは贅沢すぎる悩みなのかもしれません。しかし、銀座にでもいるとなるとやはり深刻な悩みと化してしまうのでしょう。1960年代の街並みなどを拝めるためそれも貴重。傑作とまではいきませんでしたが、中々味わい深い作品でした。
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