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理由のSSDDのレビュー・感想・評価

理由(2004年製作の映画)
3.8
■概要
高層マンションで人が落下したとの通報があったが、同時に2025号室の前に血痕がありドアが開いていると通報があった。
マンション下には若い男の落下した死体、一室内には老女、中年女性、中年男性の死体があった。
死体の身元はまったく全員他人という異質な状況と判明し、事件は複雑になっていく…。

■感想(ネタバレなし)
宮部みゆきの実在事件モチーフの小説の映画版。荒川や江東区など下町風情が残る東京で起きた事件について、2.5hの長尺で様々なキャストで描かれた作品。

1990年代を色濃く描くのでノスタルジーな物やファッション、建物の構造などが散見されバブル時期の残り香を感じたりする。

4名が殺害されるがまったく他人というセンセーショナルで謎を呼ぶ作りで惹きつけ、インタビューされている人間が独白または複数人でしゃべるという独特のスタイルで進むので、不思議な構造の映画になっているのだが合わない人には合わないかもしれない。

久々に宮部みゆきの小説を頭から読んだような感覚になるので自分はかなり満足感があった。

邦画サスペンスが好きなら観て損はないですね。











■感想(ネタバレあり)
・くさい演技と千両役者
冒頭の子役の演技の下手さが凄まじい。色々な役者が出てる中、新人の多部未華子など出てくるのだが、どうにも演技がままならない。

この作品の作り上、記者にインタビューされているという形式で独白していく形なので難しいのかもしれない。

もちろんベテラン勢はすごいのだが、若手がひどい。そんな中、宮崎まさる、宮崎あおいの演技力の高さがびっくりするのだがこの二人兄弟だったのに驚き。
実兄ということだが知らなかった。

・実在の事件と提起
練馬一家殺害についてはかなり詳細な犯行なども記載されていたりしますが。
元々犯罪歴のある男が校正し、不動産業の資格をとり、とある物件に目をつけた。
占有家の立ち退き命令は出せると杓子定規な裁判所の解答をあてにして銀行から借り入れ、所有権を手にした際には立退命令は出せないと言われた。

立退料を払っても利益が出るように売買契約を先にしてしまうが、占有屋達の態度が変わり立退を拒否され、利益は減る一方。
引き渡し期日まで何度も交渉するが無駄だと判断して殺害して死体を隠蔽すれば立ち退いたように見せられるだろうと計画殺陣に至る…。

正直ものが馬鹿を見るというような司法制度の欠陥などによる被害者とも言えなくもないのだが、子供にいたるまで殺害をしたため同情余地がない。

かなり本人の一人で抱え込む性格も相まったのと本人なりの歪んだ倫理観から当時心理状態の判断はかなり難しかったようだ。

・総評
かなり異質な事件にも関わらず認知度が低い事件を題材に、家族間の絆や、司法の穴について描き提起。その上怪談話まで取り入れまとめあげられているのは素晴らしい。
今や躍進している役者の若かりし頃も観れ、不思議な構造を観れるので満足感は高いのだが、いかんせん長い。
夜中に観ると寝落ちしかけるかもしれない。

EDの曲怖いわ!
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