mii

コズモポリスのmiiのレビュー・感想・評価

コズモポリス(2012年製作の映画)
3.6
28歳で投資家として成功を収めたエリックの心は鬱状態。
間もなく破産する事が分かっていても
暗殺者に狙われていても
空虚さに侵されていて 動じない。

リムジン内で仕事もセックスも済ます彼は
たまに外界へ出て 食事や床屋へ。
権力と富の妨害のために襲う暴動が起きても 焼身の現場をリムジンの中から眺めていても
ひとり リムジンの中で別世界のよう。
成功も数字で見ているために 身の破滅も実感がないようだ。

無関心でいられないと言う妻エリーズは
タクシーで世の出来事を知ると言う。

終始 哲学的な小難しい事言ってるな〜という会話劇なのだけれど
トップを極めて すべてにおいてパーフェクトを望み
毎日健康診断をしているエリックは
医者から前立腺が左右非対称である事を指摘され
そんな些細な事で ようやく心がざわつく。

リムジン(母船)で守られて
株の上げ下げばかりを追っているパーフェクトであった人間が
ようやく自分の前立腺の左右非対称により
世界の不均衡や変動を目の当たりにして 歪んでゆく。

マチュー・アマルリックがパイ投げの役とは贅沢な使い方!
mii

mii