28歳で投資家として成功を収めたエリックの心は鬱状態。
間もなく破産する事が分かっていても
暗殺者に狙われていても
空虚さに侵されていて 動じない。
リムジン内で仕事もセックスも済ます彼は
たまに外界へ出て 食事や床屋へ。
権力と富の妨害のために襲う暴動が起きても 焼身の現場をリムジンの中から眺めていても
ひとり リムジンの中で別世界のよう。
成功も数字で見ているために 身の破滅も実感がないようだ。
無関心でいられないと言う妻エリーズは
タクシーで世の出来事を知ると言う。
終始 哲学的な小難しい事言ってるな〜という会話劇なのだけれど
トップを極めて すべてにおいてパーフェクトを望み
毎日健康診断をしているエリックは
医者から前立腺が左右非対称である事を指摘され
そんな些細な事で ようやく心がざわつく。
リムジン(母船)で守られて
株の上げ下げばかりを追っているパーフェクトであった人間が
ようやく自分の前立腺の左右非対称により
世界の不均衡や変動を目の当たりにして 歪んでゆく。
マチュー・アマルリックがパイ投げの役とは贅沢な使い方!