あんじょーら

ケロッグ博士のあんじょーらのレビュー・感想・評価

ケロッグ博士(1994年製作の映画)
3.8
アラン・パーカー監督     コロンビア     Amazonprime


2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は3/29


Amazonprimeからオススメしてもらったんですけれど、これは確かに私の好みです。全然知らなかったですよ、恥ずかしながら。これ1996年公開映画です。めちゃくちゃ豪華な俳優陣ですし、何と言ってもアンソニー・ホプキンス主演ですよ!しかも、ブリジット・フォンダ、マシュー・ブロディック、ジョン・キューザックに、ララ・フリン・ボイルに、マイケル・ラーナー!豪華すぎる!


その上1880年代くらいのアメリカ社会を舞台にしているので、ちょっとした歴史モノでもあり、かなりブラックなユーモアを交えています、ハッキリ言って、パイソンズです。製作にパイソンズが入っていても全然驚かないです。


実在の人物であり、みんな知ってる朝食のコーンフレークであるケロッグを開発した、ケロッグ博士のおかしな信念を、悪意モリモリで製作した映画、サイコーに笑えます。


突然笑いだす女性のアップから始まり、たくさんの列になった女性が音楽に合わせて笑ていると・・・というのが冒頭です。


凄く、悪意を持って、映像化しているのですが、事実、このケロッグ博士の非科学的な健康器具や、健康法が凄く現代的な視点で見ると笑えます。ある種の強迫観念と言いますか、ギャグで言われる「健康の為なら死んでもイイ」を実践しているのが、本当に面白いです、不謹慎だけど。


とにかく、実在のケロッグ博士はどういう人なのか?不明ですが、かなり怪しい医学根拠を並べ立て、聴衆の不安を煽り、自らの健康法を守れば大丈夫だと言い切る様は、現代でもいる詐欺師そのものの手口です。ですが、ケロッグ博士が自らを信じていますし、記者や崇拝者で固めているので周囲にはイエスマンしかいません。かなりヤバい状況を作り出している人物なのですが、その健康法や健康器具を使う様が滑稽であり、本当に笑えます。


アラン・パーカー監督作品は「エンジェル・ハート」「ミシシッピー・バーニング」「ザ・コミットメンツ」と3本ほど観てますが、こんなにブラックジョークな作品を観た事が無かったので驚きました。でも、これはイングランド的なジョークともいえるのかな?とも思います。ドタバタも上手いですし、これだけのキャストを揃え、なおかつ、かなりたくさんの俳優やスタッフが必要で、歴史モノでもあり、コスチュームにもお金がかかっています。


ドタバタに合わせる音楽もサイコーですし、これ多分、実際の音楽家を連れてきて、撮影の中に衣装も着せて演奏させているので、その辺も凄くリアルでオカシイです。


ヒットしてたら良いのですが、日本だとどうでしょうね、好きな人もいるとは思いますが、難しかったんじゃないでしょうか。


しかしアンソニー・ホプキンスがめっちゃ楽しそうに、奇人を演じていて、そこは幸せな気分になります。絶対なんか口に入れながら喋ってると思う。これからはアンソニー・レクター&ケロッグ博士・ホプキンスというミドルネームで表記したい。


この頃の医学に対する考え方みたいなものが理解出来るのも興味深いですし、なにより今現代(2024年)でも同じように、健康食品のテレビでの紹介で売り切れる事を考えると、全然進歩してないのも理解出来るのが本当に人類が進歩しているか?を疑いたくなるので、大変客観視出来て良い作品。


しかしホモサピエンスの臀部ばかり見せられると、なんだか笑いを通り越して、アンニュイな気持ちになっていくのが不思議。それと裸体って全然エロくはないんだな、と思う。