kotchan

ミスティック・リバーのkotchanのレビュー・感想・評価

ミスティック・リバー(2003年製作の映画)
4.2
今作を観るたびに「因果応報」「悪因悪果」という言葉が浮かぶ。
仲の良かった少年時代のジミー、ショーン、デイヴ。デイヴの誘拐事件を機に、同じ街に住みながらも3人は疎遠になってしまう。すっかり大人になった3人は、痛ましい事件によって再び交わっていくことになる。

わかりやすい善と悪の構図があるわけではなく、ジミー(ショーン・ペン)の悲しみと怒り、およそ正常とは言えない行動も理解できないこともない。デイヴ(ティム・ロビンス)の抱える心の傷がどれ程深いかはわからないが、過去の自分に苦悩する様子は痛い程伝わってくる。
少しずつ解き明かされるジミーの黒い過去と、デイヴに迫る最悪の結末の予感には胸が締め付けられる。
終盤のクロスカッティングは久しぶりに観てもハラハラさせられ、それまで淡々と進む物語がクライマックスへ向けて一気に駆け上がっていく。
今作の結末は賛否あると思います。全てを理解したショーン(ケヴィン・ベーコン)の心境と決意はどれ程辛いものだっただろうか。
10年以上の時間を置いても上手く咀嚼できず、どう飲み込めばいいのか、どう理解すべきか、「正解」は見出せなかった。いくつかの推測はできるものの、どれもが正解のようでどれもが不正解のような。

初鑑賞当時には気付けなかった女性の強かさは、自分の人生の経験値が多少なりとも上がった証拠かな 笑。母として、妻として、女として、夫を支え家庭を守る母性の本能的な強さと腹のすわり方は男には無いもの。それをたったワンシーンで見せるイーストウッドの見事な手腕もさることながら、役者全員が演じる人物を深く理解していなければ出せない妙味も素晴らしい。
暗く重く切ない作品ですが、もう少し歳を重ね、人生の経験値が今より上がったと思える頃にまた観ようと思う。
今回と違った印象と自分なりの「正解」が得られるかもしれない。
kotchan

kotchan