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若い貴族たち 13階段のマキのblacknessfallのレビュー・感想・評価

若い貴族たち 13階段のマキ(1975年製作の映画)
3.5
東映、お得意の不良少女もの。
ただ、池玲子さんや杉本美樹さんがやってるようなズべ公テイストはかなり薄い。
タイトルに若い貴族と入ってるし、原作が梶原一騎なので東映の不良少女ものの中では異質な方だと思う。

志穂美悦子主演なんでカラテを前面に押し出してるのも他の不良少女映画にはないところ。
不良グループなのに、みんなでカラテ着姿になって志穂美悦子からカラテのレッスン受けるシーンまであるんだよ笑
ここはかなり笑えた😂

独立独歩の女不良グループ"のら猫組"を率いる志穂美悦子は観光業を隠れ蓑ヤクザを使い、女性を薬漬けにして売春をさせて荒稼ぎする観光会社の令嬢とトラブルになる。
話の前半はのら猫組VS令嬢の抗争になる。この令嬢、親父もヤクザとつるむぐらいだからなかなか肝の据わった女性で、志穂美悦子に打ちのめされた報復にヤクザを使いのら猫組を拉致る。
そして、なんと一人一人全裸に剥いてメリーゴーランドに縛りつける笑
そして、その光景に恍惚の笑みを浮かべる。

志穂美悦子の凛とした佇まいと、この令嬢の高貴だけどダーグな情念が迸るキャラの対比が素晴らしい。

話はこの二人の抗争になっていくのかと思いきや、志穂美悦子は令嬢の奸計によって少年院送りに。
そこから話は令嬢が中心に進む、令嬢の父は利用していたヤクザに殺される。そして令嬢はヤクザの親分の嫁になることを強要される!
それまで完全にヒールだった令嬢なんで、ざまぁwwみたいに思ってたら、この令嬢あんなに性格悪いのに、意外とウブでこの段になるまで父がヤクザとグルになり女性を薬漬けにして売春させてることをまったく知らなかったんだよ!
鈍すぎるけどお嬢様育ちってことのリアリティーは出てる笑

良心の呵責から組長への復讐と志穂美悦子が少年院送りになった後に捕らえられ薬漬けにされたのら猫のメンバー救出のため志穂美悦子に共闘を申し出る。

事態を令嬢から聞き、志穂美悦子は脱獄して組長へ殴り込み行く。
この脱走もなかなか小気味良くて、敵対していたグループのボスの女囚をタイマンでボコり、それから持ち前のカリスマ性で信頼を結び脱獄の手助けしてもらう。
よーやく、また志穂美悦子の話に戻ってきた笑

クライマックスは組長と令嬢の仮祝言式に単身乗り込んだ志穂美悦子とヤクザ達の大バトルシーン。この映画、志穂美悦子を主演にしてるから、実はここまでにもカラテ・アクション・シーンはあるんだけど、タイトにカットされたものばかりで物足りなさがあった。それを分かった上でか、ここは本当にコマンドーのラストじゃなけど、それぐらいの長さと熱量で志穂美悦子のカラテ無双を見せてくれる笑
持ってる気配もなかったのにいつの間にか赤いヌンチャクまで取り出してブルース・リーばりのヌンチャクさばきまで披露する笑

痛快なアクションで組長以下全滅させるんだけど、結局、薬漬けされたメンバー達は廃人同然に成り果てて、志穂美悦子の失意の表情で映画は終る。
この異様にダウナーなラストに梶原一騎っぽさを感じた。

やはり東映のこの手の映画では異質なとこが多い印象。
でも、無駄にバイオレンスだったり全体的なあか抜けなさもけっこうあって東映のテイストも強くある。
志穂美悦子はタイトルにある"13階段のマキ"を自ら名乗るとこや、着てるシャツに必ず「13」てデカデカプリントされてるクドさとダサさは東映意外の何者でもないって感じで😂
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