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レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまでのRYOBEERのレビュー・感想・評価

4.4
あぁ、こういう映画好みです。

主役の2人については他の皆さんも沢山書かれているのでいわずもがな、それを取り巻く周りの人物にもきちんと焦点が当てられているところが素晴らしい(子供は意図的に排除されていますが)。

ーーー理想を追求することだけが素晴らしいのか?現実を見ている自分たちは夢を追う者達よりも劣っているのか?ーーー

仕事を辞め、安定した生活を捨て、理想の人生を送るための"何か"を獲得する為にパリへ移住するという話をレオ・ケイト夫妻から聞き、表面上は祝福しながらも、裏では「浅はか」と笑う隣人夫婦。
しかし、そこにはどこか「羨ましい」という気持ちもあったのだろう、隣人夫婦の妻は、夫も同じ意見だったと分かった途端に「安心したわ。」と泣き出してしまう。非常に印象的なシーンでした。

理想に燃える人たちは、結果がどうであれ、その時はとてつもなく輝いて見える。そして輝くほどに、平凡な自分の影もまた色濃く見えてしまう。
「それは無謀だ」と言ってしまわないと、"現状を選択した自分は正しい"と感じることができないのだ。
そして、ケイトも根は同じだったからこそ、夫に理想の人生の追求を肩代わりさせてまでも、その現状から何としても抜け出したかったのだろう。

あと印象に残ったと言えばセックスシーン。何度か出てくるが、どれもあっという間、所謂みこすり半。(〇〇と〇〇のセックスシーンなんて、10秒くらいで男が果てた後に「ずっと君を抱きたかった」とか言っちゃう。完全にギャグです。)
どちらかに、もしくは双方に愛が無いことを表現しているのだと思いますが、個人的には(こんな事を言うと女性の方から反感を買いそうですが)声を張り上げ、エゴをぶつけ合い、恥部を晒し合う、俯瞰で見ればまるでセックスのような夫婦喧嘩との対比、という役割も果たしているような気がしました。

ラストシーン、不動産屋御夫婦の旦那さんのある行動も、ここまでシリアスな二人の結末を皮肉るようで最高。同時に「完全な相互理解は不可能である」という解のようでもありますが。

人間って向き合うばっかりじゃ、そりゃ疲れますよね。
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