えむ

プルートで朝食をのえむのレビュー・感想・評価

プルートで朝食を(2005年製作の映画)
4.0
パトリックは70年代のトランスジェンダー。
しかもアイルランドの田舎町という閉鎖的な街で生まれて出自も堂々と公言できるものでも無い。

問題だらけで波乱万丈の物語なはずなのに、やたらポップで可愛い小物や衣装、音楽でとてもチャーミングな物語に仕上がっています。

一章ごとに短く区切られた見やすい作り、『チャーリーとチョコレート工場』なんかに共通した、絵本やオモチャのような雰囲気か散りばめられていて、いちいちキッチュで可愛くてキュンとします。

アイルランドが舞台の半分だけに、1部でもIRAなんか絡んでくると、大抵映画も演劇でも暗い感じが漂う作風が多いんだけど、この作品ではそんなシーンですら、音楽やファッションの軽やかさで、変に陰鬱にはなっていません。

それに、そこそこ拗らせたりひねくれたり、身勝手なところを出したりもするけど、何故か自然とパティのことを好きになって応援したくなるんですよね。

出逢う人出逢う人、決して善人ばかりでも完璧でもないけど、あからさまに意地悪で嫌な奴ではなくて、決して暗い気持ちにならない。

ニール・ジョーダンのパティはもちろん、リーアム・ニーソン、やはり良い。
間違いない、というか、結局美味しいとこ持ってくなー!

不思議に心に残る素敵な映画でした。
えむ

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