ハリ

リプリーのハリのネタバレレビュー・内容・結末

リプリー(1999年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ピアノ演奏の舞台で富豪と偶然の出会いをし、遊び人である富豪の息子ディッキーを家に連れて帰って欲しいと頼まれる。

嘘で塗り固められたトム・リプリーの物語。富豪と出会うきっかけも自分を偽った上での偶然。自分を偽ることに長けてるトムは人の懐に入り込むのも上手いが、次第にディッキーに対して恋心を芽生えさせてしまう。

ディッキーと過ごす内に裕福な経験や、遊びを教えてもらい心酔した時に唐突に別れを告げられる。恋心もあり納得いかず、今の裕福な生活から抜け出したく無い一心で口論した後に発作的にディッキーを殺害してしまう。そこからはトムとディッキーの2人を演じながら物語は進んでいく。疑いをかけられた際も得意の嘘で窮地を切り抜け、確信を付かれた相手は殺害し、またしても偽りの人生を続ける。

物語のラストでは、偽りの人生を演じ続け自分自身が分からなくなってしまい、自分を信じて認めてくれた相手も殺害し、偽りの自分を演じ続ける為に孤独になった所で終わる。

マット・デイモンの演技が特に素晴らしく、繊細で自己肯定感の低い演技。そして偽りの自分を演じてる時の自信たっぷりの演技を見事に使い分け役に入りきっていた印象。サスペンスというカテゴリーだが、本当の自分と偽りの自分に雁字搦めにされた主人公の葛藤を描いているヒューマンドラマだと思った。
嘘を重ねるにつれてトムが怪奇に溺れていく様を140分かけて堪能。1つの嘘が身を滅ぼすということを再認識できた。
個人的評価:良作
ハリ

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