ハリ

白ゆき姫殺人事件のハリのネタバレレビュー・内容・結末

白ゆき姫殺人事件(2014年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

凄惨な殺人事件が発生し、それに対する身勝手な世論の声や憶測が渦巻く。やがてこの事件は“白ゆき姫殺人事件“と呼ばれる

サスペンスと銘打ってるが印象操作や個人の主観で物事が勝手に進んでいってしまう様を描いたヒューマンドラマ寄り。

「人の記憶は都合の良いように捻じ曲がる」

作中に登場する城野美姫の親友の言葉。
その言葉通りに、取材を受ける面々の証言は、「世論に与えたい印象」が自分の都合の良いように全面に出ているだけだった。

自己顕示欲、承認欲求、虚栄心、好奇心と人間が持っているあらゆる歪んだ感情に湾曲させられた誤った情報が事実としてワイドショーに取り上げられる事になる。

前半はそういった人達に半ば犯人に仕立て上げられた城野美姫の人間性を探るお話
後半は城野美姫が語る城野美姫自身のお話

結末は殺害された三木典子の後輩が犯人で、城野美姫を犯人に押し付けようとテレビ局の人間を使って操作を撹乱していた。

一時は窮地に立たされ人生を破壊されかけた城野美姫はその続報を聞いて立ち直る。
人間の主観によって物事は正反対な印象を受ける。匿名の意見が世論を煽り嘘が真に変遷していってしまう。そういった事を題材にしていると作品。

だが、あくまで「城野美姫」という人間が語る自分自身の事も、客観性に欠けた主観的表現にまみれているという事がミソになっているかなと

弱々しくも芯を強く持っている井上真央の演技とサイコな蓮佛美沙子の演技が光る作品だった。

粗が相当目立つが作品として面白く、定期的に観たくなる作品。やはり湊かなえ作品は観ていて苦しくなる事が多い…笑
個人的評価:良作

2024.3.22
ハリ

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