このレビューはネタバレを含みます
強盗殺人を犯してしまった兄を持つ弟の苦悩と受ける差別を描いた加害者家族の話
強盗殺人を起こしてしまった兄のせいでありとあらゆる所で迫害を受ける弟。差別と偏見の目から逃げる為に転職、引っ越しを繰り返す。
どこへ行っても好機の目に晒されてしまう。“犯罪者の弟“というだけで恋愛も仕事も上手くいかなず、夢であったお笑い芸人の道も閉ざされてしまう。最初は兄と手紙での交流を続けていたが、次第に兄の存在が疎ましくなり手紙での交流を止めてしまう。
心機一転で始めた仕事先での会長の言葉
「差別される事は当たり前で逃げる事は出来ない」
凄くハッとさせられた。
加害者家族という事実からは逃れられないし、万人に理解されるということは到底ありえない。
逃げるのでは無く、全てを受け止めて真っ直ぐに立ち向かう。その必要性を問いたシーンで凄く印象深い。
心で繋がってくれた人達と共に立ち向かう事を改めて決心する。
手紙のやり取りで解決する事は無く、本当に償いの気持ちがあるのならば手紙を書いて一方的に自分の気持ちを伝える事すら罪深い。そういった事実を兄自身に伝える事により2人は決別する事を決める。
兄との決別を決めた後、刑務所の慰問LIVEでの漫才シーンは号泣必死。特に、玉山鉄二の演技は圧巻だった。
決別をしたが兄弟という鎖は断ち切れない。正に“心で繋がった関係“へと昇華された瞬間だったと感じた。
個人的評価:名作
2024.3.23