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東京オリンピックの&yのレビュー・感想・評価

東京オリンピック(1965年製作の映画)
5.0
【2014/1/1:早稲田松竹】最高。「理想と現実を描こうとした」という市川 崑の意図通り、東京五輪を軸に描かれるさまざまな対比が、凡庸な資料映像とは一線を画す味わいを見せている。
「理想と現実」は、「過意識と無意識」に置き換えられるのでは、と過意識の結晶みたいな開会式を見ていて思った。砲丸投げ選手が極限状態で競技に集中する「過意識」、一方競技直前まで胸のゼッケンを無駄に弄りまくる彼の「無意識」。棒高選手が「過意識」状態で競技を終えた直後に櫛で髪を整えるのは「無意識」か?「過意識」か?そして「無意識」な歓喜で渦巻く閉会式。
マラソン給水所のスリル、かと思えばゆっくり賞味する選手(立ち呑み屋かよ)。スポンジの残骸拾いの可笑しみ。多角的すぎ!
全方位から東京五輪を凝視する隙間に、茅葺屋根の家屋の縁側から競輪眺める女の子や、田んぼ脇に腰を下ろして見物する農夫なんていういかにも〜な映像が挟まれて、しっかり作家性を刻印しつつ映像的な緊張/緩和表現にもなってる。と同時に、「五輪に対する市井の人々の目線」という時代の記録としてドキュメンタリーたり得てる。
あー。正月からいいもん観たわ。長いけど、体感的には90分くらいか。恐れ入りました。
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