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黄金のアデーレ 名画の帰還の&yのレビュー・感想・評価

3.7
インパクトはないけど、普通によくできた普通にいい話、いい映画だった。

ユダヤ系の良家の血を引き波乱万丈の人生ながらも今は普通に生きる老婆と、エリートになり損ねた若い普通の弁護士のバディもの。どちらもキャラが立ってるけど特に老婆、お嬢様気質が垣間見える気まぐれ我儘プチ毒舌、かつ飴を配るといったステレオタイプな老婆っぷりなど、なかなか良いキャラで好きだった。若い頃の回想シーン、カラヤンネタでナチスを交わす明晰さも、こんな賢しい小娘なら激動の時代を生き抜いて晩年シスコにブティックの一つも持てるわーと思った。

映画自体は何かもう一味欲しかった気もするけど、亡命シーンのハラハラ感などメリハリあって飽きないし、全然「普通じゃない」実話を「普通」の映画にしてること自体がスパイシーなのかなと思う。自分的には「イミテーションゲーム」枠。
まったく食指が動かないでいたけど、閉館するシネマライズでやってるから観に行った。
観てよかった。

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※以下、映画の内容に関係ない駄文です。

シネマライズの最終日、最終回で観ました。
ミニシアター世代ど真ん中のわたしは、レザボアに始まりKIDS、トレインスポッティング、ブエノスアイレス、ヘドウィグ、ヴァージンスーサイドなどなどかなりお世話になった(今だにユアン・マクレガーやオドレイ・トトゥの老けっぷりを見て自らの老いを再確認している)。編成がパルコに委託されたあたりから、所謂ミニシアター世代が勝手に「ライズっぽい」と定義するような作品の上映が激減しちょっと足が遠のきつつあったけど、それでも年2、3回は行ってたし、ハーモニー・コリンの新作をライズで観れたときは狂喜したりした。
思えばシネマライズは、地方在住だったわたしにとって、田舎モノの自分と「cut」で知るような世界とをチューニングできる数少ない場所の一つであり「自分の居場所」というにはまだ少し遠い「都会」「東京」そのものだった。
現在のわたしといえば「シネマライズとアプレミディ」というより「早稲田松竹とドトール」に生息するタイプの大人になったわけだけども、それでもシネマライズがわたしに齎したものは大きく、例えばわたしが今渋谷に住んでることの理由も「だって、シネマライズあるし」で完全な説明となり得るほど、自分の中には源流としてあるもので。
そんなシネマライズが閉館するんだから、正直もうちょっと「らしい」作品で閉じてほしいとか過去作リバイバルやってほしいとか、思うところはあった。でも、最終回のあと特に館長の挨拶や過剰なさよならムードもなく、いつも通りのアナウンスでの何事もないかのような幕引きに、ある種のカッコつけというか痩せ我慢というか、渋谷がスノッブを纏ってたころの空気感を思い出して、ちょっと泣けたし、うれしくもなった。

以上、シネマライズからの帰り道に考えたこと。
長々ネチネチすみません。

あー、シネマライズとビースティボーイズがこの世からなくなる日が来るなんて、10代のわたしには想像すらできなかったよ!!まったく!!