このレビューはネタバレを含みます
ラースフォントリアーのエンドオブザワール
2012年10月11日 14時55分レビュー
2011年カンヌ映画祭女優賞受賞キルステンダストン。
脚本、監督ラースフォントリアー。
世にも最低なダウナー気分のミュージカル。甘美と死の匂いを妄想と歌に込めたビョークの舞「ダンサーインザダーク」で一躍見たくないアンダー映画として有名になった
ラースフォントリアー監督。
前作「アンチクライスト」では、キリスト教と性を結びつけ、シャルロットゲンズブールを性に閉じ込め、撃ちつけ、物議作品を撮りあげた。
そんな矢先、ラース監督らしくない早撮りの新作完成?
「えっ!キャストにジャックバウワーことキーファーサザーランド?この作風に何故キーファー?有り得ないキャストだろ!」という妄想疑問。
そしてヒロイン「スパイダーマン」シリーズのキルステンダストン。劇場公開されましたが、なんかスルーしDVD鑑賞しました。
うわぁキーファーサザーランドの出た意味もなんかわかるなぁ。前作の「アンチクライスト」のウィリアムデフォーは適役な超S亭主でしたが、本作のキーファーは、まあで損、出落ちもいいとこのマイナスイメージを見せてくれます。納得。
そして
「スパイダーマン」シリーズの面影は、いずこへ?カンヌを制したキルステンダストンの変わりようは、ある意味ファン必見の素晴らしさ。
すっかりフォントリアー色に染まった、幸せから心にお荷物いっぱい背負った風で灰白色な顔に変貌します。
そして前作からの
シャルロットャロットゲンズブールも今回は引っ張り役で登場。ツンデレキャラで迷い人です今回。
キーファーサザーランドも良かったですよ、私は「ロストボーイ」以来に凝視しました。
っていつの話だよ!って「24」シリーズ見てないのかよって話しです。そしてまるで捨て駒のような素晴らしいキャスト。ナイスチョイス
本作のある意味人間メランコリアであり、物語のスタート的恨みの塊の名女優シャーロットランプリング、素晴らしいです。このサラッとした「悪」、顔の皺、そこからくりだされるこの映画の「悪」な言霊を聴けっ!
「エイリアン」からの奇妙な役柄が多いジョンハート。
そして本年度二度お見かけしたステランスカルスガルド。彼のサラリとした毒も必見。元々ラースフォントリアー組から売れ出した方だったんですね。なるほど。今年は「マィティソー」「アベンジャーズ」で見てたんです。
オマケに怪物俳優のわからないような役柄でウドキアーまで出演。
この適役なダウナーチョイスは素晴らしすぎました。
勿論ラースフォントリアーが前作から出ました、超ラーススローモーション、今回も顕在!示唆的な眠気をさそうよう、超美しき止め画のようなスロー必見。
あと時折ものすごく美しい画面が出現。馬の併走シーンが素晴らしい!必見です!この雲、この疾走感素晴らしい。見てっ!
ラースのテーマである、耽美死にたい派閥の「美しい」と「死」の心象イメージは素晴らしいんでございます。
ラースフォントリアーなりのノストラダムスの実行日みたいな映画でありました。ラストも良かったですね、そのまんまなんですけどね。いや、この良さは、暗くて良いという意味。爽快な絶望をありがとう。
いつもの根暗で気分を落っことすのが、得意なラースフォントリアー。彼ならではのオチでございました。楽しくありませんので、よろしくお願いします!
さて
とある家族のノストラダムス
とある心の悲劇なメランコリア
ラース監督が魅せる鬱エンドオブザワールド
マイナスな気分になりたい時にぜひ!
追伸
ラースフォントリアー
デビッドクローネンバーグ
デビッドリンチ
って変わらぬ味を出す監督でありますねー。それはそれで素晴らしい!