このレビューはネタバレを含みます
一体、サチ子は男を寄せては男を狂わす、ファム・ファタールだったのだろうか。
全編に漂う退廃的な空気感が結実するとき、この映画のタイトル、害虫の意味がうっすらとわかる。
一見普通なのに隠しようのないほど強烈な香りを放ち周囲を翻弄するこの主人公、カリスマ性と潜在能力を秘めた当時の宮崎あおい以外見当たらない。
十代女子の残酷さも、それと対称的な男子の幼稚さも、下卑た大人の思惑も火炎瓶によるクラスメイトの家の火事も、嫌な後味を残すラストシーンも、すべてが意図されたリアルでまるでリアルじゃない、個人的に大好きな映画。