グラビティボルト

甘い罠のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

甘い罠(2000年製作の映画)
3.7
人生初シャブロル。
イザベル・ユペール演じる奥さんの不審な行動を「偶然」鏡越しに
アナ・ムグラリスが目撃することでサスペンスが立ち上がっていく。
あのココアに薬物を入れる明確なショットがない作りが興味深い。
最初から最後まで妙なあやふやさがあり、それを見極めようとラストまで引き込まれてしまう映画。

イザベル・ユペールが家に着くと
カメラが彼女の早足に一旦遅れて、ゆっくりパン〜ユペールの横顔が映る〜視線の先に夫の前妻の写真が飾ってある一連のショットが好き。
「何を考えているのかわからない女」の撮り方が1級品だなと感じた。カメラが遅れたあの一瞬に、彼女の生の感情があったのかもしれないのに、追いついた時にはもう外向きの無表情しか見えない。
あと、ステンレスの水筒から溢れるドロリとしたココアが凄い。観てるだけで手触りが伝わってくる。