ピッツア橋本

異人たちとの夏のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

異人たちとの夏(1988年製作の映画)
4.5
“40歳の夏。私は美しい隣人と12の時に亡くした両親と出会った”

中年の売れっ子だけど家族と別居中の脚本家の風間杜夫が何故か謎の美しい隣人の名取裕子といい仲になったり、
何故か銀座線に乗って浅草に行くと12歳の時に死んだはずの両親に会ったりして不思議な人間ドラマが繰り広げられる。

彼らを幽霊でもなく、超能力者でもなく“異人”と称しているところに本作のSFファンタジーとノスタルジーが入り混じった不思議な世界観がある。

風間杜夫がとても真摯に中年の孤独を演じており、何度も涙してしまった。

これは中年の俺が実際に浅草に住み、母子家庭で育ったために強烈にこの主人公に感情移入してしまったのが大きい。
もういまの浅草に風間杜夫が見た景色は無いわけだけれど、面影と立地がある程度分かるせいで時代の移ろいや切なさがガンと来てしまいものすごく身近に感じられた。

一方で名取裕子演じる謎の美女も良かった。メチャクチャ名取裕子が可愛くて艶やか。このキャラのお陰で本作が普通の感動ドラマにちょっとした謎解きミステリーとエロスが加味される。

88年製作の映画なので、ちょいちょい出てくるVFXを味と取るか時代遅れと取るかで評価が変わるかも。

大林宣彦映画は今作が初めてだけど、優しいけど変態的だなあ。
癖になりそう。
ピッツア橋本

ピッツア橋本