こたつむり

私は猫ストーカーのこたつむりのレビュー・感想・評価

私は猫ストーカー(2009年製作の映画)
2.8
♪ トロトロ トロトロ
  ニャンだかトロトロ

東京の下町って良いですよね。
僕が分かるのは墨田区と葛飾区の一部ですけど、本作は文京区や荒川区が舞台。日常的な場面が描かれているだけで思わず口角が上がりました。

だから、ゆる~っと。まったり~っと。
空気を食べるかのように臨むが作法。
細かい部分を気にしたら負けだと思います。

が。
凡俗な僕に達観を求められても無理な話。
どうしても、細かい部分が気になってしまうのです。

例えば、カメラワーク。
主人公を追いかけるときの手振れ感が激しくてカメラを意識したのを筆頭に、ある場面ではスタッフの影が入り込んでいる始末。ゲリラ的な撮影だったのでしょうが…うーん。

あと、古本屋さんの設定も微妙。
店舗の規模から言ってアルバイトが2名も要るかな…というか、仮に必要だとしても、店先にお客さんよりも多いスタッフが常駐しているのは…バランス感覚に欠けますよね。

そして、何よりも問題なのが、猫に物語を押し付けたこと。途中までは、猫を背景として捉えていたので良かったんですけど、遊びたがっている猫に“警戒されずに触る方法を伝授する”って違和感満載。

そこは「どうやって一緒に遊ぶか」に変えないと。猫が手を出したがるような何か(ビニル袋とか)で遊ぶとか。あるいはカバンを地面に置き、地面とカバンの隙間から何か(長くて硬いものならば何でも可)を出すとか。そうやって遊ぶコツを教えるのが、本当の秘伝じゃないでしょうか。

それを頑なに物語に合わせようとするから“これはウソなのだ”という想いが醸成されるわけで。折角の旨味成分が濁ってしまうのです。あー。モッタイナイ。

あと、猫を扱うのならば。
合成でも良いので“喉を鳴らす音”を入れてもらいたいですね。顔を見せるだけで喉を鳴らす…この初歩中の初歩であるスキルを身につけてこそ、猫仙人と呼べると思います(主人公は猫ストーカーですけど)。

まあ、そんなわけで。
下町に暮らす猫と古本屋に勤める女の子の物語。地味ながらに配役も豪華なので、刺激を求めずに緩やかな姿勢で楽しむのが大切だと思います。って今更書いても説得力皆無ですね。てへぺろ。
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