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コンスタンティンのkkmovoftdのレビュー・感想・評価

コンスタンティン(2005年製作の映画)
3.6
思うに、同じキアヌの「ジョン・ウィック」がウケたのはスタイリッシュなアクションは勿論だけど、それのみならず、劇中の色んな要素から映ってる世界の裏側の、完璧に構築された殺し屋業界のシステムが見え隠れして、そこから観客はその雄大な余白を想像するっていう知的な愉しみがあったのが凄く大きいと思う。

ではこのコンスタンティンはどうですか‼
「地獄のコリント書」「伝説の電気椅子」「聖十字散弾銃」みたいな謎のオカルトギミックが次々登場して、登場人物達は何か分からないけど共通のオカルト認識っぽいので会話をしてるし、事情通だけが集まる謎のバーで情報収集して(これは「ジョン・ウィック」と同じ!)、おまけに悪魔をぶん殴って倒すっていうスタイリッシュアクションもある‼聖なるメリケンで悪魔の額をカチ割るなんて、最高と言わずに何と言いましょうか‼
古今東西のホラービデオを漁りまくるオカルトファンの皆さんには垂涎ものの映画だと思いますけど、どうして流行らなかったんだろうか。やはりキリスト教圏以外の人達は受け入れられなかったのかなぁ。それともキアヌがタバコで死にかけるから、JTからの圧力でもあったんだろうか。

それにこの映画はカッコ良いだけじゃなくてものすごく優しさが込められている気がして、唯一人間に影響を与えられるハーフブリードが人間に対して囁きかけたり肩を抱いたりすることしかできないっていうのはヴェンダースのやさしい映画「ベルリン・天使の詩」そのまんまだし、傍から見れば精神病でしかない人達が、実は皆には感知できないものを感じちゃうばかりに苦しんでいるんだっていうのは、平均値でしかない「健全さ」みたいなものから外れてしまった人達を別のルールで包摂するような、みんなを抱きしめられる新しいルールを作り出しているような、そんな途方もない優しさの試みであるように感じました。

他人に見えないものが見えるばっかりに自殺未遂しちゃって地獄に堕ちるしかないけど何とか頑張ってる主人公とか、霊の声が聞こえるばっかりにアル中になっちゃった神父さんが最後に自らを傷つけてまで他人にメッセージを残そうとするとことか、これを真摯さとかやさしさと呼ばずに何と呼びましょうか。昔本で読んだ、虐待を受けて机の下でいつも膝を抱えてる女の子が言ってた「世界が壊れないように、私はここでじーっとしてるの」っていう言葉を思い出した。
たとえ傍から理解ができなくても、それぞれ皆が自分のルールで自分のフィールドで闘っていて、それを否定する権利なんてものは、どこの誰にも存在しない。社会なんてものは、所詮最大公約数の幻想でしかない。

愛をもってB級ホラーを掘っている人達にとっては、良くも悪くも教科書のような映画だと思います。あとトランスフォーマーシリーズでも青臭かったシャイア・ラブーフが、本作では更に若くてへっちょこですね!ワォ‼
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