座頭市御用旅の作品情報・感想・評価

座頭市御用旅1972年製作の映画)

製作国:

上映時間:90分

ジャンル:

3.7

「座頭市御用旅」に投稿された感想・評価

シリーズ第二十三作。劇伴が現代劇っぽいことを除けば、座頭市のフォーマットにかなり忠実な作品。どうしても型を外した方にばかり目が向いてしまうが、やはり王道も超面白い。不完全燃焼な部分もあるが、全ての矛先が市へ向かっていく構成は観ていてハラハラする。
Catman

Catmanの感想・評価

4.0
1972年公開、シリーズも終盤の第23作。大映による60年代のプログラムピクチャー時代とは明らかに異なるソリッドな攻めの演出が面白い。浪曲師による口演とハードボイルド風味の若干いなたい劇伴とのアグレッシブな組み合わせをフィーチャーした幕開け、アバンタイトルからもうキメッキメ。タランティーノが好きそう。ディスクの仕様のせいなのかどうか分からないけど、いかにも70sのB級的なザラついた映像も凄くいい。
キャストは超豪華で、勝新×森繁×三国蓮太郎、これだけでも相当な見応えです。例によって娯楽要素の詰め込み過ぎと座頭市が普通に正義の味方になってしまっている点はちょっと残念なんだけど、クライマックスの殺陣が全てを持っていってしまう。特に勝新が演出したと言うラストシーンは圧巻。物語的には完結した後に何の必然性も無く、ただただカッコ良く幕を降ろすためだけに付け加えたとしか思えない座頭市と高橋悦史による浪人との瞬時の斬り合い。ザッザッザッドーーーン!非常にモダンでアバンギャルド、勝新の映画的センスに痺れます。
観たあと興奮が冷めなかった。
起承転結がしっかりして、ラストが完璧!時代劇は観ないと言う若者はこれを観てほしい。
シズヲ

シズヲの感想・評価

4.0
ちょっと変わった雰囲気の座頭市。オープニングから浪曲が頻繁に用いられ、更にはいかにも現代的なハードボイルド系のBGMが流れたりと珍しい演出が盛り込まれている。ちょっと慣れないけど、なかなか新鮮で悪くない。乾いた雰囲気に溢れた映像も実に渋くて堪らない。

ストーリーは安定して面白い。目明かしの親子、拾い子の家族といった別々の軸がバランスよく話に絡んでいる。悪役として関わる三國連太郎も淡々とした冷徹な演技が素晴らしい。展開の割に市さんの哀愁はちょっと物足りなかったけど、その分ヤクザとしての凄味を滲み出す場面が多かったので十分クールだ。

凄惨な拷問シーンは強烈だし、終盤の殺陣もインパクト抜群。浪曲が鳴り響く中での居合、獅子舞の市さん、炎をバックに仕込み杖を構える市さん……これだけでも秀逸なのに、その後の浪人との一騎打ちは更に凄まじい。最高に洗練された一瞬の決着にただただ痺れるばかり。浪人自体はぶっちゃけ存在の必要性を殆ど感じない立ち位置だったけど、ラストの圧倒的なセンスだけでもう全部許せちゃうのだなあ。
旅の途中、女が襲われ二十両奪われる様に遭遇した市(勝新太郎)。
市はその女を救ったが彼女は身籠っており陣痛が始まってしまった。
赤ん坊を取り上げるがその女は死んでしまう。
女が死ぬ間際に言った塩原まで赤ん坊を届けるが、女の旦那は不在でその妹・お八重(大谷直子)に預ける。
塩原では老いた目明きの藤兵衛(森繁久彌)が町民を守っていたが、やくざの鉄五郎(三國連太郎)一味がその座を奪おうとしていた・・・。

勝新太郎劇場版シリーズ第23作目。

三國連太郎が『座頭市牢破り』以来再び座頭市の敵として登場です。
前は気弱な悪役でしたが今作は本当に冷徹な悪役。
市への報復で結構酷いリンチをしてます。

何より前作に続いて市が誤解を招いて孤立してしまうというストーリーなんです。
オープニングで助けた女を草場で見ていた幼い息子は市がおかんを殺したと勘違いし続ける事から悲劇を生むわけで。

脇を固める森繁久彌もさすがですが、殺し屋の高橋悦史がなかなかかっこいい。
最後の最後で市とのサシの勝負を行いますが…こんな扱いでいいのか?と笑ってしまった(笑)
座頭市目線ならかっこいいんですけどね。

これまた見応えがある作品なのは間違いないです。
シリーズ23作目。

ナレーションが浪曲。思いっきり哀愁漂うテレビドラマみたいな劇伴。縄で首を締められたままリンチを受け女の股をくぐらされる市。目明かしなのにロクロ回しという渋い森繁久彌。ひたすら憎たらしいヤクザの親分こと三國連太郎。剣豪こと高橋悦史とのすれ違いざまの居合い…全部カッコいい。

もっとも、折角(というか、相変わらず)市が犯人と誤解されるシチュエーションが登場するのに、“信じてもらえない孤独な悲しきアウトロー”的なココロのドラマは一切無い。恋も裏切りも葛藤も無い。ただただカッコいいシチュエーションが連なるだけ。でも、面白いんだからそれでいい。

象徴的なのが、「強い奴と剣を交えることだけが生き甲斐」で「ヤクザに用心棒として雇われている」座頭市シリーズお定まりの剣豪。中盤で市とのすれ違いざまの居合いを見せてくれた後は、ラストシーンで旅に出る市と刃を交えて瞬殺されてしまう。ストーリーに全く絡むこと無く、心情なども一切描かれず(つまり、物語的には全く不要なキャラで)、ただただカッコ良さだけのために登場する。

とにかくかっけー。おもしれー。
英タイトルはZATOICHI AT LARGE
折れた杖へのブリッジ的作品なのではなかろうか?奇妙な居心地。音楽は激シブなのだがタイミングが異常。紙一重感ありあり。個人的には全然アリ。
シリーズの終焉も近付く23作目。市の善行が裏目に出てばかり、市の幸薄さが強調される物語。

市が拷問で痛め付けられる珍しいシーンは、あるものの、基本的に地味な演出で撮られ続けるので寒々しい空気感と相まって良く言えば、しんみり。悪く言えば退屈と言ったところ。

ここまで個性的な傑作、力作続いていたところで少しだけシリーズもそろそろ限界か、と思ってしまう。
今回、敵ボスとして三國連太郎が再登場。
しかもかなり分かり易く悪い奴である。
こいつにとっつかまった市がリンチされるわけだが、これがかなり凄惨。

四方から首を縄で縛り、痣だらけになるまで殴る蹴るの殴打地獄。
地べたを這わせ、女の股を潜らせ、犬猫の真似を強いる。
水を懇願すると、地面に溢した物を舐めさせる。
等、かなり痛々しいシーンになっている。

その辺の恨みがあったのか、終盤、体に火が燃え移っても三國連太郎を確実に殺そうとにじり寄る市が迫真だ。
(『牢破り』の時といい、三國連太郎にはネチネチとホラー殺人鬼的責め方をするのが決まりなのか)
また、ラストの高橋悦史との対決も凄い。
無音、逆光の中でのストップモーションチャンバラ、鮮烈で濃い色合いの画面に村井邦彦の音楽(すぐ判る)。
バババっと斬り合い、決着と共に異様に力強い「完」が出て、ブッた斬るかの様に映画は終わる。
このシーンは勝新の演出による物で、ここだけ物凄くアバンギャルド。
3者の視点(市が偶然拾ってしまった赤子とその家族、地方を守ってきた老十手とそのバカ息子、悪党共)とそれを行き交う市をバランス良く描いていてプロット自体が良く出来ている。市の拷問シーンはエグくて迫力あるし、立ち回りも見応えあって全体として座頭市シリーズの良作だと思う。これだけで十分満足。
しかし真に圧巻なのはラストだろう。悪党の三國連太郎を殺し女子供に金を残し、この地を去ろうとする市とそれを待ち構える居合の達人(高橋悦史)。逆光でプァーっと明るくなっていく画面の中、ストップモーションで斬り合い、一方が倒れたと思った瞬間、画面が暗転し現れる「完」の文字。画面を突然ぶった斬るかのようなズバっとしたリズムの連鎖がたまらなく強烈だ。この勝新の生理、というか独特のリズムは次作『折れた杖』で全編に渡って炸裂することになる。
余談、本作を35mmフィルムでの上映で見たのだがこのラスト、フィルムがマジで良い感じのグラインドハウス状態になってて2割増しくらいでカッコ良く見えました。久しぶりにフィルム上映の醍醐味を味わった気分。
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