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マイマイ新子と千年の魔法のyunumataのレビュー・感想・評価

マイマイ新子と千年の魔法(2009年製作の映画)
5.0
映画館、レンタルDVD、と既に鑑賞していたけれど、数年ぶりに観て、やっぱりこれは傑作だと思った。温かな世界観、鮮やかな舞台設定、軽やかかつ早すぎないテンポ、そしてあまりにも魅力的な登場人物たち。子どもたちの演技も、止め絵の可愛らしさも、そして素晴らしいアニメートもずば抜けているし、それでいて「子どもたちって想像力豊かでイノセントだよね!」という思考停止に、まるでアンチテーゼを捧げるような後半の展開の容赦なさが素晴らしい。いつまでも子どものままではいられない、世界はずっと広くて豊かで、残酷だ。けれど、けれどだからこそ! ひとの持つ揺るがない想像力で、この日常に戦いを挑まなければならないのだ! 激しすぎず、けれど甘えることもせず、等身大でその真理をまっすぐに伝えていて、総合力で得点を稼いでる上にメッセージ性も豊かっちゅう、ほんとうに傑作と呼ぶにふさわしい作品だと思う。誰にでも勧めることが出来る映画だなぁ……。
スキャットを交えた劇伴は、グッドメロディを殺しているように個人的には思えて、そこはあまり好きではない。そしてこれは作品とは関係がないけれど、もし自分が映画を撮るとしたら、こういう「スキが少なく破綻がない秀作」よりも、もう少し偏った、欠点があっても熱量や作家性でそれを乗り切るような作品をきっと目指すし、それこそが作りたいものだと考えると思う。そこくらいだな……。でもそれが結構、小さくない断絶かもしれないんだよな。

劇場・レンタル(2009)、映画祭(2016.11.)
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