鍋山和弥

華の乱の鍋山和弥のネタバレレビュー・内容・結末

華の乱(1988年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

愛に生きた、2人の『アキコ』の物語。主人公は、『ヨサノアキコ(以下、ヨサノ)』。彼女は、憧れの師、『ヨサノヒロシ(以下、ヒロシ』)と、結婚した。『ヒロシ』は、生粋の、詩人で、側に、女性がいて、その恋心が、詩を詠む、原動力だった。それから、『ヒロシ』は、鬱病になり、詩が書けなくなり、大勢の、子供達を、産んでの、大家族を、『ヨサノ』の収入で、踏ん張っていた。そんな、ある日、『ヨサノ』は、作家の『アリシマ』氏と出会う。『アリシマ』氏は、一目で、『ヨサノ』に、恋心を、抱いたが、『アリシマ』氏には、心中を、決意した、恋人で、もう一人の『アキコ』の、『ハタノアキコ(以下、ハタノ)が、いた。『ハタノ』も、人妻だったが、『ハタノ』の夫は、『ハタノ』を、人形扱いする、最低な夫だった。『アリシマ』は、『ヨサノ』と、触れる内に、生きたいと、思うようになっていったが、『ヨサノ』と、過ごすつもりだった、北海道で、『アリシマ』は、農民に、土地を、分け与えたのだが、農民達は、政府からの、暴力に、苦しんだ。農民達は、社会運動をする者達でも、あったため。その現状への、絶望と、『ハタノ』への思いから、『アリシマ』は、『ハタノ』と、無理心中するに、至った。この作品は、2人の女性を、同時に、愛したとは言え、『アリシマ』氏の、不器用ながら、誠実な人柄に、感動する物でもある。『ヨサノ』も、『ハタノ』も、『アリシマ』氏に、出会い、青春時代を、取り戻した感じがする。もし、出会った形が、違うのであれば、互いを、一途に、愛し合ったに、違いない。今の夫よりも、『アリシマ』氏を、2人の『アキコ』は、愛した。2人の『アキコ』は、『アリシマ』氏のような、いい人には、2度と、出会わないかもしれない。そう思ったはずだ。『ヨサノ』も『ハタノ』も、きっと、そう思ったし、互いの気持ちも、察したのだろう。結婚した相手が、一番、愛した人とは、限らない。そして、愛した相手が、生涯に、一人とは、限らない。この大正の時代であっても、そうだったのだろう。いつの時代も、愛は、難しい。
鍋山和弥

鍋山和弥