Fitzcarraldo

愛と死の記録のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

愛と死の記録(1966年製作の映画)
1.7
海軍特別幹部練習生として入隊し、広島県呉市で訓練中に広島の原爆投下を目撃したという蔵原惟繕(くらはら これよし)監督作。

因みに作家の城山三郎も同じ場所にいたとか…

脚本は劇作家の大橋喜一と小林吉男の共作であるが、小林吉男の情報がない。

大橋喜一
「わたしは二十代のほとんどを戦場でおくり、敗戦後は、労働運動のなかから劇作家になった。それらの媒介をしたのは、戦後の新劇運動と労働者の職場演劇運動である。わたしは職場演劇から劇作家に転じた。劇作家たるべき決断をした時は三七才。久保栄ならば「火山灰地」を完成した年令より一年も後。だから、五〇才を過ぎても素人意識に悩まされつづけた」


渡哲也と吉永小百合の出会いから無茶苦茶…

【ある朝、和江は勤め先の楽器店の前で危うくオートバイにハネられそうになり、持っていたレコードを割ってしまった】
…と日活のあらすじには書いてあるが、このシーンはない。そうなんだろうなぁと予測することはできるが…このシーンをなぜ削ったのか?撮影すらしてないのか?このシーンは、あった方が良かったと思うけど…

【幸雄は、この小さな事件を見ていた和江の同僚ふみ子の恋人・藤井と同じ印刷会社に勤める親友だった。そこで二人を仲良くさせようと一計を案じたふみ子と藤井により、和江と幸雄は近くの公園で会うことになった。親友のイタズラと知った二人は驚いたが、すっかり打ち解けた】
…と日活のあらすじに書いてあるが、この"小さな事件を見ていた和江"も小さな事件のシーンが存在しないから、見ていた和江という理屈も通らない。
イタズラを計ったのは伝わるのだが、その前段が全くないので、気持ち悪いくらい急激に仲良くなる渡哲也演じる幸雄と、吉永小百合演じる和江。
日活のあらすじには公園とあるが、車がバンバン走る橋の上。そこで、イタズラと知った瞬間に手を取りはしゃぐ…いやいや。

そして、その夜に喫茶店で…

幸雄
「おどかすのぉ!」

和江
「びっくりした?」

幸雄
「あぁ!心臓がキュゥ言うて!」

和江
「オーバーじゃ!」

幸雄
「ほんと!ウソじゃ思うならホレ(和江の手を掴み自分の心臓へ当てる)」

和江
「………(手を放し)エッチじゃねぇ」

名言出ました!
思わず吹き出してしまった!
さすがサユリストならぬ永遠の処女リスト!


バイクデート。海辺で休憩。

幸雄
「潮風が強いのぉ」

和江
「風がヤキモチ焼いとるんよ」

幸雄
「ええ香りじゃのぅ…君の髪」

………なんちゅう台詞書くねん。
くっさいのぉ。
終始セリフがこんなんだから、どんだけ自然に演技したとしても自然にはならんわな…これはしょうがない。なので二人のやり取りは常にオーバーアクトだし、押し引きも唐突だし、激流のように気持ち悪い。

これは劇作家の悪い癖のように感じる。
クローズアップができる映像芝居においては、どうしても過剰に見えてしまう…。


なので本作のハイライトは渡哲也が乗るバイク!
1965年に発売され、世界一速い250ccバイクの称号を獲得したスズキ初のスーパースポーツモデルのT20。
この時代の安全度外視のノーヘルで走るT20は相当カッコイイし、マフラーの音も痺れます。

T20は『仮面ライダー』で旧1号と2号が乗った"旧サイクロン号"のベース車両。後方に突き出た6本の排気管のうち最下段の2対がホンモノで他は水道管を改造して取り付けていたという。
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