三畳

神経衰弱ぎりぎりの女たちの三畳のレビュー・感想・評価

神経衰弱ぎりぎりの女たち(1987年製作の映画)
4.4
Women on the Verge of a Nervous Breakdown
英題も邦題も良い!

アルモドバル観賞8作目になりました。
今回はバカデカモザイクなかった。

タレントのペパとイバンは不倫同棲している。
睡眠薬を飲んだペパがアフレコの仕事に寝坊するシーンから始まる。

色男イバンは映像の中でも実生活でも、息をするように周りの女に片っ端から手を出すが、そこに疑問を抱かせないのは「KIKA」をはじめアルモドバルの世界では震源地男の前提らしい。

先に自分一人分の台詞を収録、声のない女の映像に語り掛ける。以降ずっと2人は電話を取れずにすれ違い、留守番電話のメッセージをやりとりすることの象徴みたい。

実は二人の関係はもう終わりかけていて、
ペパは最後にもう一度話をするために家凸置手紙したり(秒で奥さんに捨てられてた。)、
タクシー(黄色くデコった遊園地のアトラクションみたいな最高の”マンボタクシー”)で尾行したり、
夜通し待ち伏せしたり(空から降ってきた鞄が偶然ぶつかり彼に子どもがいたことを知る)、
メンヘラ状態に。
そう、これからは、メンヘラって意地悪さ潜む言い方やめて神経衰弱=ナーバス・ブレイクダウンと言おう。

既にそんなぎりぎりアウトのペパのお家に、
シーア派テロリストと寝ちゃった友達のカンデラが匿ってほしいと駆け込み、
次に部屋を借りたがっている内見カップルが来てみると不倫相手の息子で、
後から警察と刑事と奥さんも一堂に会するというカオスな状態!

話題がカーチェイス状態というか。一つの線路を複数の電車が横並びで奪い合うかのごとく、そこそこ切羽詰まった事件が無理やり同時進行するので「ボルベール<帰郷>」でもそうしてくれたように全く飽きさせない!
そんな中であっても密室さえあればすぐに発生する浮気!情熱の国!

ペパ出演のCM笑った。殺人犯の息子が帰ってくるといつもシャツは真っ赤!でもこの洗剤で洗濯すれば・・・刑事「ニオイもないぞ」ペパ「これであなたも真っシロ!」
これスペインならOKなジョークなのか皮肉なのかわからないのが悔しい!

一日に何度も電話を壊しては直させるのでアリバイになってしまうのも面白すぎ。2回目のタクシー何で泣いたんだろう?目薬出てくるのもコントみたい。

主張の強い強い原色が氾濫するように女の感情は大忙しで、その瞬間を爆走する生き様になぜだか元気をもらえます!

ペドロ好き好きランキング
1 ジュリエッタ
2 神経衰弱ぎりぎり
3 キカ
4 ペピルシボン
5 ボルベール
6 セクシリア
7 マタドール
8 私が、生きる肌
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