フライ

ザ・デプスのフライのレビュー・感想・評価

ザ・デプス(1989年製作の映画)
3.1
当時、深海系映画が立て続けに製作され話題になった作品の一つ。初めて見た時は、斬新な設定とこれまでに無い作品なだけに、それなりに楽しめた記憶はあったのだが…この手の作品に感じるのは、時の流れは本当に残酷と言う事。

深海1万mにアメリカ海軍主導の元、ミサイル発射台設置と深海調査の為、巨大な居住基地に11人の色々な専門分野のクルーが長期滞在していた。
海軍一優秀な女性コリンズと潜水艇乗りのマクブライドは、長い間一緒に作業をしている内に愛し合う様になるが、優秀なコリンズに引け目を感じるマクブライドは、お互いの未来に積極的な彼女の言葉をはぐらかしていた。
居住基地から少し離れた調査地にコリンズを含めた交代要員4人をマクブライドとジムが潜水艇を操作し向かう。調査基地では責任者のゲルダーと機器捜査員スナイダーが待っていたが、ミサイル発射台設置の遅れにゲルダーはイラついていた。ところが調査地の下に巨大な穴がある事に気づくコリンズは、更なる調査をゲルダーに提案するが、ゲルダーは爆破して塞ぐ事を命令。海洋生物などの調査をしているスカルペリは、周辺海域で目撃される巨大海洋生物情報の事も気になりゲルダーに調査したい旨願い出るが聞き入れて貰えず、司令官のレイドローに頼むが海軍の仕事が優先である事を理由に却下される。
そして調査員2人が穴を爆破、確認していると正体不明の何かに襲われ行方不明に。更にコリンズ達の居る調査基地まで何かに襲われる。コリンズからのSOSを最後に調査基地と連絡が取れなくなり、心配するレイドローとマクブライドが潜水艇で向かう。そして正体不明の巨大な何かの接近に怯える2人なのだが…

表向きは深海生物に襲われ、クルーが危機に瀕して行くと言うある意味在り来りな内容なのだが、本作の面白さは中盤展開する、スナイダーと言うクレイジーなクルーの行動に有るかと。途中スナイダーを他のクルーがバカにしたりと若干の違和感を覚えたのだが、中盤からたたみかける様にクルーを危機的状況に導くスナイダーの行動にそれも納得。途中イライラを通り越し、何を仕出かすか楽しんで見ている自分がいた。たぶん深海と言う閉鎖空間が人間に及ぼすストレスを表現したかったのか?とも思えたが、スナイダーのクレイジー過ぎる行動はかなり楽しめた。
当時、話題性やこれまでに無い設定などで楽しめた記憶はあったが、今見るとこの手の作品特有の恋バナや深海生物の焦らした登場と低クオリティなどなど、色々な粗が目立ち正直苛立ってしまった。それでも深海と言う独特の閉鎖された空間で展開される緊張感や多少のグロ、本作ならではの面白さもありそれなりには楽しめた。

B級映画好きなら結構楽しめると思うが、本筋とは少し外れるかも知れないが、スナイダーと言う狂気は、ある意味一見の価値は有るかも。余りオススメ出来る映画ではないが、時間に余裕が有り且つ興味の有る人は是非。
フライ

フライ