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アメリカン・ヒストリーXのmiiのレビュー・感想・評価

アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)
3.9
兄デレクは強い「怒り」を抱えており
父親を殺した黒人を敵と見なして
白人至上主義のネオナチグループのリーダーとなる。
彼の怒りは 黒人だけでなく ユダヤ人と関わる家族にも向けられる。

父親の黒人差別の言葉が 子供ながらに刷り込まれていて
父の死をきっかけに 怒りが噴出してしまった。
若さ故に その勢いは止まらない。

弟ダニーは
強くカリスマ性のあるデレクを尊敬しており
兄のようになりたいと崇拝している。

兄弟を見てきた高校の校長から
兄の投獄についてレポート提出の課題を出されるダニー。

デレクは投獄中に知り合った黒人のラモントとの関係と
自分の身に起こった不幸を経験して改心し
自分と同じ道を歩もうとしている弟を止めようとする。

しかし この道に足を突っ込んでしまったが故に
崩壊は止まらず 破滅する···

同じ白人同士の仲間が 簡単にデレクに牙を向けたのが 非情だった。
自分の思想に反する者は排除するだけでなく 傷付ける。

この物語は白人vs黒人の対立ではあるけれど
人間の怒りや憎しみによる犯罪は
学校のいじめであったり 自殺であったり
人種差別の少ない日本人にも当てはまる事。
むしろ これらの方が表に出づらい問題で 醜悪だ。

自分ひとりだけの力では もう止まらない。
泥沼に浸かってしまう前に
早い段階で 作中の校長のような人物との出会いと導きがあったなら···

それ以前に 父親の差別の思想が一切なかったら
真面目であったデレクは この道に進まなかったでしょう。
ダニーも 兄のように不良を真似る事はなく
学校でトラブルの種を生む事にはならなかったでしょうね。

鋭く問題提起をした作品で
これから子を持つ親御さんや 教育者も観る価値のある作品ですが
暴力の描写は かなりきついですね。
mii

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